2023/05/27 2023/05/27
【初心者向け・安全衛生】石綿とはなにか、石綿障害予防規則よりわかりやすく解説
今回は、石綿のお話をいたします。
石綿は、非常に危険な化学物質であることはご存じの方も多いかと思います。
今回は法令に基づく解説を行います。
石綿とはなにか、石綿障害予防規則よりわかりやすく解説
石綿の定義について法令より解説
まず、石綿については、定義があります。
石綿障害予防規則2条1項に、労働安全衛生施行令6条23号に規定されている石綿ということになります。
石綿障害予防規則
(定義)
第二条 この省令において「石綿等」とは、労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第六条第二十三号に規定する石綿等をいう。
2 この省令において「所轄労働基準監督署長」とは、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長をいう。
3 この省令において「切断等」とは、切断、破砕、穿せん孔、研磨等をいう。
4 この省令において「石綿分析用試料等」とは、令第六条第二十三号に規定する石綿分析用試料等をいう。e-Gov 石綿障害予防規則
労働安全衛生法施行令
(作業主任者を選任すべき作業)
第六条 法第十四条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
(中略)
二十三 石綿若しくは石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のため製造する作業若しくは第十六条第一項第四号イからハまでに掲げる石綿で同号の厚生労働省令で定めるもの若しくはこれらの石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿分析用試料等」という。)を製造する作業
e-Gov 労働安全衛生法施行令
ここで、令23号から、まとめてみます。
石綿が重量の0.1%を超えて含有している者ということになっています。
石綿とは
石綿若しくは石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物を言います。
では、そもそも石綿とは何でしょう。
まず、石綿について、労働安全衛生法施行令16条は、製造などが禁止される有害物を列挙していますが、その令16条1項4号に「石綿」が記載されています。
では、令16条の石綿ですが、通達によると、アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライトの6種類が記載されており、これらをまとめて、「クリソタイル等」といいます。
「クリソタイル等」ということで、クリソタイルが主役のようですが、実際に現在存在する石綿の9割以上がクリソタイルと言われています。
なお、青色ハイライトの部分も重要な部分であり、まとめると以下のようになります。
①塊状の岩石であって、これに含まれるクリソタイル等が繊維状を呈していない物は含まないこと。
②ただし、塊状の岩石であっても、例えば蛇紋岩系左官用モルタル混和材のように、これを微細に粉砕することにより繊維状を呈するクリソタイル等が発生し、その含有率が微細に粉砕された岩石の重量の0.1%を超えた場合は、製造等の禁止の対象となること。
労働安全衛生法施行令(製造等が禁止される有害物等)
第十六条 法第五十五条の政令で定める物は、次のとおりとする。
一 黄りんマツチ
二 ベンジジン及びその塩
三 四―アミノジフエニル及びその塩
四 石綿(次に掲げる物で厚生労働省令で定めるものを除く。)
イ 石綿の分析のための試料の用に供される石綿
ロ 石綿の使用状況の調査に関する知識又は技能の習得のための教育の用に供される石綿
ハ イ又はロに掲げる物の原料又は材料として使用される石綿
五 四―ニトロジフエニル及びその塩
六 ビス(クロロメチル)エーテル
七 ベータ―ナフチルアミン及びその塩
八 ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む。)の五パーセントを超えるもの
九 第二号、第三号若しくは第五号から第七号までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有し、又は第四号に掲げる物をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物
2 法第五十五条ただし書の政令で定める要件は、次のとおりとする。
一 製造、輸入又は使用について、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けること。この場合において、輸入貿易管理令(昭和二十四年政令第四百十四号)第九条第一項の規定による輸入割当てを受けるべき物の輸入については、同項の輸入割当てを受けたことを証する書面を提出しなければならない。
二 厚生労働大臣が定める基準に従つて製造し、又は使用すること。
e-Gov 労働安全衛生法施行令
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等について 基発第0811002号
平成18年8月11日
(抜粋)
第 3 細部事項
1 労働安全衛生法施行令関係
(1 )第6条関係
ア 石綿等について、試験研究のために製造する作業以外の製造の作業が禁止されることに伴い、当該製造の作業を作業主任者を選任すべき作業から削除したものであること。
イ 規制の対象となる物の石綿の含有率を1%から0.1%に改めるとともに、これを政令で規定することとしたこと。
(2 )第16条関係
ア 第4号の「石綿」とは、繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト(以下「クリソタイル等」という。)をいうこと。
イ 第9号の「第4号に掲げる物(石綿)をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物」とは、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する物のことをいい、塊状の岩石であって、これに含まれるクリソタイル等が繊維状を呈していない物は含まないこと。
ただし、塊状の岩石であっても、例えば蛇紋岩系左官用モルタル混和材のように、これを微細に粉砕することにより繊維状を呈するクリソタイル等が発生し、その含有率が微細に粉砕された岩石の重量の0.1%を超えた場合は、製造等の禁止の対象となること。
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等について 基発第0811002号
以上より、結局、塊状の岩石であっても、砕いて繊維状のクリソタイル等が出なければよいが、出れば製造などの禁止の対象ということになります。
では、このクリソタイル等の分類、つまり、石綿の分類ですが、以下になります。
クリソタイルだけ蛇紋石ということになり、その他は角閃石となっています。
石綿の他の物質
石綿に関連するお仕事の場合、石綿の調査を行わなければなりません。
この時、石綿ではないですが、バーミキュライト、タルク、ブルーサイトなどとの区別が重要になります。
なお、ウィンチャイト、リヒテライトについては、トレモライト類として扱います。
つまり、バーミキュライトそのものは石綿ではありませんが、石綿含有建材として取り扱うよう厚生労働省から通達が出ています。
このように、石綿に関する安全衛生については、石綿だけでなく、他の鉱物についても知っておかなければなりません。
バーミキュライトが吹き付けられた建築物等の解体等の作業に当たっての留意事項について
基安化発1228第1号 平成 21年12月28日 (一部改正 平成26年3月31日)引用元:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000043006.pdf
まとめ
今回は石綿についてお話いたしました。
かなりマニアックな話になります。
石綿に関する産業保健現場における健康管理については特殊なのであまり自信をもってできる医師は少ないかと思います。
これからも石綿の健康管理は重要になると思われますので、産業医の先生方もぜひ得意な分野にしましょう。
石綿について
①石綿とはアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライトのことで、これらを「クリソタイル等」と呼び
②石綿をその重量の0.1%を超えて含有する物のことをいい、塊状の岩石であって、これに含まれるクリソタイル等が繊維状を呈していない物は含まないこと。ただし、塊状の岩石であっても、これを微細に粉砕することにより繊維状を呈するクリソタイル等が発生し、その含有率が微細に粉砕された岩石の重量の0.1%を超えた場合は、製造等の禁止の対象となること。
これをしっかり覚えておきましょう。
労働衛生コンサルタント事務所LAOは、化学物質の自律的管理について、コンサルティング業務を行っております。
産業医として化学物質の自律的管理に対応可能な医師はあまりいないと思われますが、継続的なフォローも必要なため、産業医又は顧問医としての契約として、お受けしております。
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化学物質の個別的な規制についても得意としています。
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