事務所LAO – 行政書士・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント・海事代理士

【医師・初心者向け】労働衛生コンサルタントの開業の登録申請までの準備について

今回の記事は、産業医の先生方に向けたもので、労働衛生コンサルタント(保健衛生)の資格取得を希望している方や、取得した後の情報を知りたい方を対象としています。
また、この記事は現在勤務医をされている方を想定しており、新たに個人事業主として労働衛生コンサルタント事業所を開業したいと考えている方を想定しています。
既に法人を設立されている場合には、ここで説明する内容は不要かもしれません。


労働衛生コンサルタント試験に合格した後、登録申請を行い、労働衛生コンサルタントとしての活動を開始すると、すぐに仕事が入ることもあります。
産業医の先生方が労働衛生コンサルタント事務所を開設するために、労働衛生コンサルタントの登録に向けた準備についてお話しします。

労働衛生コンサルタントの登録申請

 労働衛生コンサルタントの登録申請

今回は、労働衛生コンサルタントの登録に必要な事項についてお話しいたします。
労働衛生コンサルタント試験に合格した方は、産業医となる要件を満たしています。そして、労働衛生コンサルタント試験に合格していればよいだけなので、労働衛生コンサルタント事務所の開設は産業医となる資格のために必須ではありません。
したがって、産業医の要件を満たすためだけに労働衛生コンサルタント試験に合格された方は、登録する必要はありません。


ぜひ労働衛生コンサルタントとして活躍したいという先生方は登録が必要です。
登録については、公益財団法人、安全衛生技術試験協会のHPに記載があります。
申請について、特に難しいことはないと思います。医師免許の申請と同じような感じかと思います。

『コンサルタント登録申請書(様式第3号)』をダウンロードして、その記載内容を見ておきましょう。

労働安全・労働衛生コンサルタントの登録申請
公益財団法人、安全衛生技術試験協

 

 登録前に準備しておくべきこと

 登録する事務所

『コンサルタント登録申請書(様式第3号)』には、事務所の名称と所在地の記載が必要です。
実際に登録する事務所が、意外にに重要な問題となる可能性があります。
自宅でいいでしょと思われる先生方もおられるかもしれません。
はい、しかしこれがややこしいのです。

事務所を登録する際には、登録する事務所の選定が必要です。自宅を使用する場合もありますが、賃貸物件を事業用に使用する場合は、契約書に事業目的で使用できるかを確認する必要があります。
また、マンションやアパートを使用する場合は、管理規約により事務所として使用が認められているか確認し、所有者や管理組合の許可が必要になる場合があります。
レンタルオフィスも一つの方法ですね。レンタルオフィスを利用して、所在地として登録することができます。レンタルオフィスの利用には、契約書や規則に基づき使用可能な目的や期間、費用等が定められていますので事前に確認することが必要です。しかし、労働衛生コンサルタント事務所の所在を会員名簿とかで事務所の所在を見てみると、おそらく、レンタルオフィスの先生はあまりいないかなと思います。

実は、労働衛生コンサルタント事務所は複数登録できます。
登録申請を行う際の様式、『コンサルタント登録申請書(様式第3号)』の備考をよく見ると、「従たる事務所がある場合には、その名称及び所在地を併記すること」とあります。
安全衛生技術試験協会に確認したところ、事務所の複数登録は可能だということでした。
他の士業が、1か所しか登録できないのに比べると、複数登録ができるのは意外ですね。
事務所を複数登録できることについても、税理士に相談しましょう。

また、労働衛生コンサルタントは名誉失墜行為が禁止されているため、コンプライアンス違反には十分注意する必要があります。

指定登録機関 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 殿
備考
1 厚生労働大臣が登録事務を行う場合には厚生労働大臣に提出すること。この場合にあっては、手数料に相当する額の収入印紙を収入印紙欄に貼り付けること。
2 指定登録機関が登録事務を行う場合には当該指定登録機関に提出すること。この場合にあっては、当該指定登録機関の登録事務規程に定めるところにより手数料を納付し、収入印紙は貼らないこと。
3 「氏名」の欄は、旧姓を使用した氏名又は通称の併記の希望の有無を〇で囲むこと。併記を希望する場合には、併記を希望する氏名又は通称を記入すること。
4 ④欄は、従たる事務所がある場合には、その名称及び所在地を併記すること。
5 ⑥欄は、合格証の年月日を記入すること。
6 申請書には、合格証の写しを添付すること。

コンサルタント登録申請書(様式第3号)

引用元のURL

 

労働安全衛生法(義務)
第八十六条 コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
2 コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。

e-Gov 労働安全衛生法

PC、タブレット等

まず、デスクトップPCは必須です。

産業医などで多くの顧問先がある場合、外出しなければならないことが多く、そのためノートPCは必須です。
クライアントの前で相談しながら書類を作成することもありますし、訪問先での面談後に意見書の作成や診療情報提供書(依頼書)の作成が必要になることもあります。
また、外出時に対応しなければならない事案があったり、産業医の移動時間に仕事をする必要があったりするため、外出中のWiFi接続契約も必要です。
もちろん、ノートPCやタブレットは、万が一の紛失時に備えて遠隔ロックをかけられるようにしておきましょう。

現在の時代では、オンラインで面談を行うことが多いため、PCを用意する場合は、オンライン面談ができることを前提にしてください。
また、PCの設置場所も重要です。オンライン面談中に背景に変なものが映らないようにしたり、雑音やペットの邪魔を受けないようにすることも大切です。

クラウドストレージを利用する場合は、有料のサービスを契約しましょう。また、二段階認証の機能があるところが望ましいです。

 税理士契約

税理士には開業届の提出や報酬等の源泉徴収税の支払いなど、税務手続きに関する相談ができますので最初から税理士に相談することをお勧めします。
産業医事務所は軌道にのれば早めに収益を上げることができますので、収益が上がってから税理士に相談しようではなく、最初から相談することをお勧めいたします。
個人事業主の場合は、開業届の提出と青色申告承認申請書の提出が必要ですが、これらの手続きも税理士にお願いすることができます。
青色申告課税では、複式簿記が必須となりますが、こちらも税理士にお願いできます。
また、法人であれば、税理士との契約が必須となるかと思います。

 PCソフト

まず、文書作成ソフトとしてはMicrosoftのOfficeが必要です。
診療情報提供依頼書を作成するために、クライアント企業とのファイル交換が必要になることがあるため、ソフトウェアが異なるとトラブルの原因となります。
本当は私もLinuxを使いたいと思っていますが・・・。
産業医講話の資料作りも必要な場合であり、パワーポイントも必要です。
Microsoft 365のサブスクリプションがお勧めです。

もし、自分で会計記帳を行う場合は、会計ソフトが必要になります。
士業の中では、マネーフォワードかFreeeがよく使われているようです。
繰り返しますが、最初から適切な税理士と関わることができれば、今後の業務が非常にスムーズに進むと思います。

名刺

これも重要ですね。名刺のデザインだけでなく、ロゴも作らなければなりません。
最近は個人で個人に依頼できるサイトがあるようで、コンペティションでデザインを依頼する士業さんが多いようです。
私はデザイナーさんにお願いしました。

ホームページ

レンタルサーバーの契約が必要です。
ホームページ作成は安く済ますことは可能ですが、きちんとプロにお願いした方がよいかと思います。

通信関係

もし、ネット回線がない場合は、回線工事が必要ですね。携帯できるWi-Fiでも対応できるでしょうが、やはり安定したネット回線がないと不便ですね。
電話機はあった方が良いですが、産業医で出張が多い場合は携帯でも問題ありません。

産業医業務でFAXを利用することはほとんどありません。FAXはなくても問題ないと思います。ただし、複合機を購入しFAX機能が付属している場合は、クラウドストレージへ自動保存するように設定すると便利です。産業医業務でFAXが必要となる場面としては、大き目の病院の受診予約を取る際に、FAXでのやり取りが必要となるかもしれません。

また、自動ドキュメントフィーダー(ADF)を備えたスキャナーがあると便利です。実際、業務量が増えるにつれ必要不可欠になるでしょう。
自分の印鑑を押して作成した文書をスキャンし、記録として保存することができます。ADFが両面スキャンに対応しているとさらに便利です。
労働衛生コンサルタントの業務であれば、プリンターの印刷サイズはA4があれば十分です。私はA3を印刷できるものを使っていますが、労働衛生コンサルタントと産業医の業務では基本的にA3は必要ないかと思います。

以上より、ADF機能付きでA4を印刷できるカラーの複合機があれば、基本的な業務には対応できると思います。

 ゴム印

こちらは非常に重要です。
健康診断の判定に使う「医師 〇〇〇〇」(○○は名前)、「通常勤務」というシャチハタは必須です。
いつも持ち歩いておき、クライエント企業にお伺いした時に健康診断結果の就業判定で押印するのに便利です。
現在は、健康診断の結果に医師の意見を述べた医師の押印は必要なく、記名だけでいいので、黒色の上記シャチハタで要件を満たせます。

事務所名と住所のゴム印も業務に必要です。
領収書や郵便物の記載に使えます。

 労働衛生コンサルタント用の通帳とクレジットカード

税理士にお願いするなら、会計は税理士にご相談されてください。

ひょっとしたら、自分で全部やりたいという個人事業主の方のために特に、専用の通帳とクレジットカードは準備しておきましょう。会計がすごく楽になります。
特に、クラウド会計ソフトはネットバンキングと連携できるので、ほぼ自動で記録されていきます。

職印

こちらは労働衛生コンサルタントにとっては必ずしも必要ないので趣味の世界になります。
作っても、作らなくてもどちらでも。

まとめ

今回は、勤務医等でお勤めされている先生が、個人事業で労働衛生コンサルタント事務所を開設する際の準備に関してお話ししました。
少しでも参考になればと思います。

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、産業医・顧問医の受託をお受けしております。労務管理と一体になった産業保健業務を多職種連携で行います。

お問い合わせはこちらからお願いいたします。

この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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