2023/06/03 2023/06/03
【心理学】似ている例・典型例で考えてしまう代表性ヒューリスティックは完全回避は不可能です
労働災害を回避するためには、危険予知を行います。これはKY活動と呼ばれていますね。
その際、皆さんは同様の危険な作業を思い浮かべて、危険かどうかを判断しませんか?
似たような状況なら、同じような危険が存在すると思われるかもしれません。
しかし、似たような状況だからといって、必ずしも同じ危険があるわけではありません。
今回はそんなお話です。
似ている例で考えてしまう代表性ヒューリスティックについて
代表性ヒューリスティックとは
まず、重要な概念ですが、ヒューリスティック(heuristic)は経験的な知識に基づいて、複数の選択肢から最適なものを選ぶ手法です。
「このような状況では、こうすると良い」「以前に同じことを経験したことがある」といった感じですね。
代表性ヒューリスティック(Representativeness heuristic)は、特定の出来事の可能性を評価する際に、過去の代表的または典型的な例との類似性を評価し、その出来事の頻度や発生確率を推測して判断する傾向です。
しかし、現在の例が本当に過去の例と同じかどうかはわかりませんね。
過去の代表例・典型例に似ているからこうだ!!といったように偏りすぎてしまうのが問題なのです。
以下、例を挙げてみましょう。
- 年度末には道が混むので、車で出かけるときは早めに出発しよう。
→本当に混むかはわからない。 - 3か月後の8月の旅行は、台風が来る可能性もあるので、飛行機で出かけるのはやめよう。
→過去の8月の台風発生の確率を把握して判断すべきである。 - 近所で強盗が起きたらしい、不審な男性には気を付けよう。
→実際には男性ではないかもしれません。 - 外国人が困っている、英語で話しかけよう。
→外国人でも日本語が流暢かもしれません。英語以外の言語しかわからないかもしれません。
代表性ヒューリスティックの影響
代表性ヒューリスティックは、経験に基づいて判断するという点でよく利用されます。
しかし、代表的・典型的な例に頼りすぎるため、他の情報を考慮に入れることを怠ってしまい、失敗するかもしれません。
簡単に言えば、「いつも通りのやり方で行けばいい」と思っていたら、今回は違っていたという場合です。
また、代表的な例に頼るため、他人に対しても典型的なイメージで接してしまうことがあります。
皆さんの会社でも、「あの人はラグビー部だったから、体育会系の性格だろう」といったように、代表的な例に基づいて人を判断することがあるのではないでしょうか。
他のヒューリスティックにも該当するのですが、ヒューリスティックそのものが悪いわけではありません。
迅速な判断と意思決定をするためには、ヒューリスティックが必要です。
KY活動を実践されている方の多くは、過去の経験を大切にしながらKY活動を行うでしょう。
その際、今までの経験に当てはまらない場合はありうるのかを考えながらKY活動を行っていますでしょうか?
どうやって代表性ヒューリスティックの悪影響を避けれるのか?
前述のように、私たちがよく利用するヒューリスティックは、過去の経験に基づいて典型的な例に当てはめるというものです。そのため、我々は常に代表性ヒューリスティックの影響を受けており、避けることは非常に難しいです。
しかし、まずは代表性ヒューリスティックの存在を認識することが重要です。そして、具体的な確率を客観的に把握するように心がけましょう。
また、他人の意見は重要であり、典型的な例に当てはめているときに、本当にそれで正しいのかを考え直す機会を与えてくれます。よって、他人の意見をきちんと聞き、大切にすることは重要です。
まとめ
代表性ヒューリスティックについて説明しました。過去の典型例に当てはめることは非常に一般的であり、私たちは常に代表性ヒューリスティックの影響を受けながら意思決定を行っています。
代表性ヒューリスティックの存在を認識し、客観的な発生確率を把握するようにしましょう。
また、他人の指摘には注意を払い、まず、真摯に聴くことから始めましょう。
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