2023/06/04 2023/06/04
【人事労務担当者向け】マズローの欲求5段階説と労務管理上の応用について
社長や上司が、会社の集まりで「みんな、上を目指して頑張れ、マズローの五段階欲求説も上位の自己実現を目指すように言っている」と言うのはよくある状況です。
マズローの欲求5段階説はよく、間違われて使われています。
職場復帰支援や治療(障害)と仕事の両立支援にも応用できます。
今回は、マズローの欲求5段階説と労務管理・産業保健の関わりについて解説します。
マズローの欲求5段階説と労務管理・産業保健への応用について
マズローの欲求5段階説とは
マズローの欲求5段階説は有名な理論です。
この理論によれば、人間の欲求は階層的な構造を持ち、下位の欲求が満たされることで上位の欲求が生じるとされています。
下位の欲求より挙げていきます。
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生理的欲求(Physiological Needs)
生理的欲求は、人間の生存に直結する基本的な欲求ですであり、食物、水、睡眠などが含まれます。これらの欲求が満たされないと、他の欲求を追求することは困難です。 -
安全への欲求(Safety Needs)
安全欲求は、身体的な安全や物理的な安定性を求める欲求です。具体的には、安全な居住環境、安定した雇用、健康な状態などが含まれます。 -
社会的欲求(Social Belongingness and Love)
社会的所属と愛の欲求は、他者との関係形成や愛情、友情、所属意識を求める欲求です。人間は他者との絆を築き、社会的なつながりを持つことで満たされる欲求があります。 -
承認欲求(Esteem)
承認欲求は、他者からの評価や自己評価、自尊心、成果や成功への欲求などを指します。
地位や名声を求め、他人から尊敬されたい、または自尊心を満たしたい願望から承認欲求が生じます。 -
自己実現の欲求(Self-Actualization)
自己実現の欲求は、個々の才能や能力の最大限の発揮、自己成長、個人の可能性の追求を指します。
この欲求は、個人が自身の真の目的や情熱に向かって進化し、個体としての最高の状態を追求することを意味します。
労務管理において重要な点
人間の欲求は階層的な構造を持ち、下位の欲求が満たされることで上位の欲求が生じるということでしたよね。
冒頭で述べたように、上司が「みんな、上を目指して頑張れ」という状況はいかがでしょうか。
もし、残業が多い、休憩が取れない、ノルマが非常に多い、すぐにクビだといわれる等があれば、安全への欲求が満たされないかもしれません。
冒頭で述べたように、「上を目指して頑張れ」と言っても、基本的な労働条件が守れていなければマズローの欲求5段階説からは困難であると言えます。
職場復帰支援・両立支援において
何らかの病気に罹患したのち、復職する際の職場復帰支援においてもマズローの五段階欲求説は適用されます。
例えば、脳梗塞で重い後遺症があり、仕事が続けられるか微妙な状態の方が復職を希望された場合はいかがでしょうか。
働き続けられない可能性がある場合、安全への欲求が満たされないかもしれません。
そのような状態で、「みんな、上を目指して頑張れ」と言って、上位の欲求を満たすように促しても厳しいですよね。
まずは、しっかり最低限のお仕事ができて、働き続けられるという状態へ職場復帰支援を行い、安全への欲求を満たしましょう。
両立支援においても同様です。
病気でお仕事ができなくなるのでは?という不安からくる安全への欲求を満たすように支援しましょう。
まとめ
マズローの欲求5段階説はよく、間違われて使われていますので、今回、解説しました。
この理論によれば、人間の欲求は階層的な構造を持ち、下位の欲求が満たされることで上位の欲求が生じるとされています。
冒頭で述べたように、「上を目指して頑張れ」と言っても、基本的な労働条件が守れていなければマズローの欲求5段階説からは困難であると言えます。
会社が下位の要求を満たせないのに、上を目指せと鼓舞することはやめましょう。
職場復帰支援や治療(障害)と仕事の両立支援においてにおいても同様の問題が生じます。
マズローの欲求5段階説は著名で、非常に使いやすい理論ですので知っておきましょう。
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