2023/08/20 2023/08/21
【化学物質】ダイオキシン類についての指針上の健康管理上の対応と、化学物質の自律的管理の関係について
今回はダイオキシン類についての健康管理のお話をします。
ダイオキシン類は、2024年4月より、がん原性物質に該当します。
ダイオキシン類の対策について、化学物質の自律的管理との関係を踏まえ、健康管理につきお話しいたします。
ダイオキシン類についての指針上の健康管理上の対応と、化学物質の自律的管理の関係について
ダイオキシン類とは
ダイオキシン類は、環境中に広く存在しており、その量は非常に微量です。微量でも強い毒性を持つと考えられています。ダイオキシン類は、ポリ塩化ジべンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、コプラナーポリ塩化ビフェニルという3種類物質群の総称です。
ダイオキシン類は、塩素が含まれる化合物を高温処理する際に発生しますが、廃棄物焼却炉が発生源として問題となっています。
ダイオキシンの特徴としては、水に溶けにくい、油に溶けやすい、蒸発しにくい等があります。
ダイオキシン類の健康管理
ダイオキシン類の健康管理については、以下の要綱で記載があります。
ダイオキシン類の特殊健康診断を定期に行う必要はありませんが、一般健診をきちんと行うことと、労働者がダイオキシン類に著しく汚染され、又はこれを多量に吸入したおそれのある場合は医師の診察又は処置を受けさせなければなりません。
この場合、労働者の血中ダイオキシン類濃度測定を行い、その結果を記録して30年間保存しておくことが必要です。
これの措置は、後のがん原性物質への対応の記録として30年間保存する必要があります(令和6年4月より)。
(4)健康管理
対象作業を行う事業者は、労働者に対し、労働安全衛生法に基づく一般健康診断を確実に実施するとともに、ダイオキシン類へのばく露による健康不安を訴える労働者に対して、産業医等の意見を踏まえ、必要があると認める場合に、就業上の措置等を適切に行うこと。
また、事故、保護具の破損等により当該労働者がダイオキシン類に著しく汚染され、又はこれを多量に吸入したおそれのある場合は、速やかに当該労働者に医師による診察又は処置を受けさせること。なお、この場合には、必要に応じて、当該労働者の血中ダイオキシン類濃度測定を行い、その結果を記録して30年間保存しておくこと。
(5)就業上の配慮 対象作業を行う事業者は、女性労働者については、母性保護の観点から、廃棄物焼却施設における運転、点検等作業及び解体作業における就業上の配慮を行うこと。
廃棄物焼却施設関連作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱
しかし、ダイオキシン類は、後述しますが、リスクアセスメント対象物になります。
その場合、化学物質の自律的管理で行うべき、健康診断が必要となる可能性があります。
労働安全衛生規則第577条の2第4項により労働者がダイオキシン類に著しく汚染され、又はこれを多量に吸入したおそれのある場合」についての対応しなければならないでしょう。
労働安全衛生規則
(ばく露の程度の低減等)
第五百七十七条の二 事業者は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場において、
リスクアセスメントの結果等に基づき、労働者の健康障害を防止するため、代替物の使用、発散源を密
閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置の設置及び稼働、作業の方法の改善、有効な呼吸用保護具
を使用させること等必要な措置を講ずることにより、リスクアセスメント対象物に労働者がばく露され
る程度を最小限度にしなければならない。
2 事業者は、リスクアセスメント対象物のうち、一定程度のばく露に抑えることにより、労働者に健康
障害を生ずるおそれがない物として厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う業務(主として
一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く。)を行う屋内作業場においては、当該業務に
従事する労働者がこれらの物にばく露される程度を、厚生労働大臣が定める濃度の基準以下としなけれ
ばならない。
3 事業者は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、法
第六十六条の規定による健康診断のほか、リスクアセスメント対象物に係るリスクアセスメントの結果
に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師又は歯科医師が必要と認める項
目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない。
4 事業者は、第二項の業務に従事する労働者が、同項の厚生労働大臣が定める濃度の基準を超えてリス
クアセスメント対象物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、当該労働者に対し、医師又は歯科
医師が必要と認める項目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない。
(以下)略法令施行日前です。
ダイオキシン類はリスクアセスメント対象物であり、かつ、がん原性物質である
ダイオキシン類は、リスクアセスメント対象物に当たります。ダイオキシン類は、様々な物質が含まれていますので、個別の物質名、CAS番号で検索することが必要です。ためしに、ポリ塩化ビフェニルをNITE化学物質総合情報提供システムで調べてみましょう。
(この検索方法の詳細はまだ、ブログに乗せていませんでしたね。)
多くの種類がありますが、一つをピックアップしてみましょう。
SDS交付義務対象物質であり、がん原性物質に当たります。
なお、がん原性物質となるのは、令和6年4月からになります。これ以降ではがん原性物質への対応が必要となります。
つまり、ダイオキシン類は、リスクアセスメントを行い、また、がん原性物質の対応を行わなければならないことがわかります。
リスクアセスメント対象物であれば、その他の化学物質自律的管理の対策を行わなければなりませんので注意しましょう。
まとめ
ダイオキシン類の健康診断と、化学物質の自律的管理における関係について解説しました。
非常に簡単に言いますと、ダイオキシン類の対策は、化学物質の自律的管理にのせなければなりません。
健康管理の他、今後、さまざまな対応が必要となりますので、注意しましょう。
労働衛生コンサルタント事務所LAOは、化学物質の自律的管理について、コンサルティング業務を行っております。
産業医として化学物質の自律的管理に対応可能な医師はあまりいないと思われますが、継続的なフォローも必要なため、産業医又は顧問医としての契約として、お受けしております。
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化学物質の個別的な規制についても得意としています。
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