2023/05/28 2023/05/28
【安全衛生】石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションと、そのガイドラインについて
石綿が存在する建築物の解体作業等を行う際には、関係者と意思疎通を行わなければなりません。
これを石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションと言います。
今回はリスクコミュニケーションのお話をします。
石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションとは
リスクコミュニケーションの定義とは
皆さまは、石綿の「リスクコミュニケーション」という言葉をご存じでしょうか?
これには、指針があり、今回の記事では、この指針を引用しています。
本ガイドラインは、建築物等の解体等工事(他の者から請け負ったものを除く。)の発注者(以下、発注者という。)または請負契約によらないで自ら施工する者(以下、自主施工者という。)が周辺住民等との信頼関係を構築し適切な工事が施工できるよう、発注者または自主施工者が実施する「建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーション」の基本的な考え方や手順を取りまとめたものです。
建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドライン 改訂版 令和4年3月環 境 省
(このブログでは、リスクコミュニケーション指針と呼びます。)
引用:https://www.env.go.jp/content/000066254.pdf
石綿を吸入すると、がんになる、非常に危険な化学物質であるということはご存じの方も多いかと思います。
石綿の飛散による健康影響は、社会的に強い関心が寄せられており、周辺住民の不安を解消し、より安全な解体等工事を進めるために、周辺住民等との間の円滑なリスクコミュニケーションの重要性・必要性が高まっています。
リスクコミュニケーションの定義は、「解体等工事における石綿飛散に係るリスクや飛散防止対策の内容と効果などに関する正確な情報を、発注者または自主施工者と工事の元請業者及び下請負人が周辺住民等や地方公共団体等関係機関と共有し、相互に情報や意見を交換して意思疎通を図ること」とされています。
リスクコミュニケーションは、これを行うことにより相互理解を深め信頼関係を構築し、必要に5 応じて飛散防止対策の質を高め、リスクの低減に役立てることを目的としています。
リスクコミュニケーションの全体像
上記ガイドラインより、リスクコミュニケーションをどのように行うかの全体図を引用します。
登場人物は大きく分けて3人ですね。
これを行うことによる、発注者または自主施行者のメリットについては以下が挙げられています。
【発注者または自主施工者にとってのメリット】
事前に作業内容やリスクを周知、共有することにより、周辺住民等とのトラブルの未然回避や初期段階での対処が可能となり、工事の円滑な推進につながります。万が一、事故等が発生した場合にも問題解決の糸口となります。
リスクコミュニケーションを行うことにより、石綿漏えい・飛散事故の防止と石綿飛散防止対策の質の向上が期待されます。それにより、工事作業者や周辺住民等の石綿ばく露リスクや石綿飛散に係る訴訟リスクを低減できます。
リスクコミュニケーションを適切に行うことで、社会的な責任を果たすことになり、信頼を得ることができます。
総合的に見ると意思決定にかかる時間と費用の節約を可能にすることができます。
以下に解体工事の一般的な流れとリスクコミュニケーションの実施時期についての図を載せておきます。
まとめ
石綿が存在する建築物の解体作業等を行う際には、関係者と意思疎通を行わなければなりません。
これを石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションと言います。
環境省より、「建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドライン 改訂版 令和4年3月環境省」という指針が出ておりますので関与される方はしっかり読んでおきましょう。
かなり内容は濃く、やらなければならないことは多いです。
産業医は直接、リスクコミュニケーションに関与するとこはないかと思いますが、どのようなことをしているか知っておきましょう。
労働衛生コンサルタント事務所LAOは、化学物質の自律的管理について、コンサルティング業務を行っております。
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化学物質の個別的な規制についても得意としています。
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