事務所LAO – 行政書士・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント・海事代理士

【人事労務担当者向け】ハラスメント窓口の外部委託機関を勝手に分類してみました。

ネット上でハラスメント窓口の外部委託機関の広告をよく見かけますよね。
今回は、このハラスメント窓口の外部委託機関に関する話です。
なお、この話は私の主観的な意見です。あくまで主観的な意見です。

ハラスメント相談窓口の外部委託

ハラスメント相談窓口の業務内容

ハラスメント相談窓口は外部委託が可能であり、インターネットで検索すれば多くの機関(会社、士業事務所など)が見つかるでしょう。

ただし、各機関との契約内容によってハラスメント対応の内容が違う場会があります。例えば、相談窓口が単に相談を受けるだけである場合や、相談者の希望に応じて会社に連絡だけを行う場合、さらに機関がハラスメント委員会の外部委員として参加する場合などもがあります。

さらに、ハラスメントの場合、相談者が精神疾患を併発している可能性も考慮されるべき問題です。精神疾患が併発している場合、どのように対応するかも重要な課題となります。

きちんと産業医にリファーができるかどうか、また精神障害の労災認定基準を考慮した対応ができるかどうかもポイントになります。

ハラスメント相談窓口の系統(当ブログが勝手に分類しています)

私は、これらのハラスメント相談窓口の外部委託は、大きく分けて3つの系統と、どこにも属さない「その他」に分類されると思います。
(この分類は当ブログが勝手に分類しているだけで、世の中に一般的には通じませんのでご注意ください。)

ハラスメント窓口の外部委託機関

(ア)法務系(弁護士・社会保険労務士など)

(イ)カウンセリング系(カウンセラー:公認心理士、臨床心理士、キャリアコンサルタントなど)
(ウ)医療系(保健師、看護師等)
(エ)その他

私は、社労士、カウンセラー、医師なのでそれぞれのメリット・デメリットを思いつくままに記載してみましょう。

(ア)法務系の外部相談窓口について

弁護士、社労士がハラスメント相談窓口業務を受託している場合は多いです。2023年9月1日より、精神障害における労災認定基準について、具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加されましたが、弁護士であればカスタマーハラスメントの対応について強いかもしれません。

(メリット)
弁護士・社労士はハラスメントの事案に関して、ハラスメント規定や就業規則などに基づき、適正な手続きを行いアドバイスすることができると考えられます。

ハラスメントかどうかを判定するためには、まず事実があったのかどうかを確認する必要があります。事実が存在する場合、それがハラスメントと評価すべきかどうかという問題が生じます。

初めの相談窓口として、ハラスメントの種類などに意識を向けながら情報を収集できることは大きなメリットだと考えます。

参考:「ハラスメント基本情報」ハラスメントの類型と種類 厚生労働省

さらに、精神疾患の労災認定基準や、ハラスメントに関連した判例を考慮した対応も可能です。
また、士業における守秘義務は非常に厳格であり、会社への情報漏洩の心配なく相談ができるというメリットもあります。

相談窓口だけでなく、受託機関が対応を行う場合には、ハラスメントが認められた場合には就業規則などに基づいた措置が必要となります。その措置についても、適切な手続きを遵守することが得意だと思います。

(デメリット)
ハラスメントと精神疾患はしばしば同時に発生することがあります。精神疾患の発症が疑われる場合、法務関連の対応のみでは解決が難しいと考えます。そもそも、精神疾患の発症があるかどうかわからないかもしれません。さらに精神科への紹介が必要な状況の判断など、具体的な対応は正直に言って難しいと思われます。

また、相談者の思い込みや誤解への対応、不安に対する対応はカウンセリング技術が必要とされますが、ハラスメント相談窓口の方がカウンセリング技術を知らない可能性も高いかと思われます。

(イ)心理職、カウンセリング系の外部相談窓口について

臨床心理士や公認心理師などの専門家が運営している機関での相談窓口の委託も一般的です。また、キャリアコンサルタントが対応している場合もあります。臨床心理士や公認心理師は医療属性もありますので、次の医療系の外部相談窓口の性質も併せて有することとなるかと思います。

元々カウンセリングサービスを提供していた会社等が法律で義務化されたのでハラスメント相談も受け付けるようになったというパターンが、多いように見受けられます。

(メリット)
カウンセリングの特長として、ハラスメント相談者が主張する事実がある場合でも、客観的には軽微であったり、思い込みや誤解によって相談者が事実をハラスメントと認識している可能性もあります。

また、ハラスメントに対してどのように対応すべきかわからない不安や、相談窓口での情報の守秘義務が守られるのかという不安、加害者の嫌がらせが悪化しないかという不安など、相談者は多くの不安を抱えていることが多いと思います。このような不安に対応することはカウンセラーの得意とするところです。

また、臨床心理士や公認心理師は精神疾患にも関する「医療」の知識を持っているため、精神疾患のある相談者に対しても適切な対応やリファーなどが容易に行えると思われます。

(デメリット)
カウンセラーの資格は民間で多くの種類が存在し、どのような民間資格のカウンセラーがハラスメント対応を行っているかによって質の差が生じることがあります。

さらに、ハラスメントの類型に基づく情報収集やアドバイス、就業規則に基づく措置には特殊な知識が必要であると思われます。判例や労災認定に関する知識については、通常カウンセラーは学ぶ機会がないので、学習する必要があります。

(ウ)医療系の外部相談窓口について

保健師や看護師がハラスメントの相談窓口となる場合もありますが、かなり少数派であるという印象です。臨床心理士や公認心理師も医療系に含めてよいかと思います。

(メリット)
保健師、看護師、臨床心理士、公認心理師等(以下、保健師など)の場合、精神疾患の発症が疑われる場合には、適切な医療専門家にリファーすることができます。また、保健師等は企業の産業医にも同じ医療職としてアクセスしやすく、また、産業医からも保健師等へのアクセスは心理的ハードルが低いと考えられます。
医療専門家はインフォームドコンセントについても理解しているため、ハラスメント相談者に対して適切な対応を行うことができるでしょう。医療職は国家資格に基づくものであれば、原則として厳格な守秘義務があり、相談者がハラスメント内容を話しても会社に漏れる心配がないという安心感があります。

(メリット)
しかし、ハラスメントの類型や就業規則、判例については、原則として医療職は学ぶ機会が少なく、きちんと理解していない医療職も結構多いと考えられます。また、カウンセリング技術は公認心理師や臨床心理士などの心理職を除いては、特別の訓練を受けた人でなければ十分に対応するのは難しいと思われます。

(エ)その他

その他、上記の組み合わせや、特に専門職でない方が対応されている場合等があります。法的な守秘義務がない場合もあるかと思います。
ハラスメントの外部相談窓口を委託されている企業様は、どのような職種の方がハラスメント相談に携わっているのかを確認したほうがよいでしょう。

どのようなハラスメント窓口においても多職種連携は必要

このように、私は勝手にハラスメント窓口の属性を勝手に分類しましたが、どの窓口でも大切なことがあります。
それはきちんと規定を作ることです。ハラスメント相談については極めてセンシティブな内容の話が出ることがあります。相談した内容がどのような範囲で共有されるか、あるいは共有されないのかについてはあらかじめきちんと示しておかなければならないでしょう。

そして、このような規定をあらかじめ整備したうえ、本人の同意の元、様々な部門と連携してハラスメントの問題に対応できるようにしなければなりません。
さて、産業医の皆様は、ハラスメント相談窓口の方としっかり打ち合わせをされたことがありますでしょうか。打ち合わせを行ったことがない場合に、ほんとうにメンタルヘルス不調が発生した時にスムーズに連携できますでしょうか。

 精神障害の労災認定基準とハラスメント相談窓口

メンタルヘルス不調となった方の労災認定、つまり、精神障害の労災認定においては、基準が公表されています。
こちらに、各種ハラスメント事案につき「会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合」には、ハラスメントの強度が「中」から「強」となることに注意が必要です。

そして、ハラスメント相談窓口の設置は法令で義務化されていますので、「会社に相談」については、ハラスメント相談窓口が通常想定されます。ハラスメント相談窓口にハラスメントの相談があった場合には、適切な対応を行い、改善しなければなりません。

この点、外部のハラスメント相談窓口と会社が全く連携をとっていなければ、会社に相談したが、会社が知らず何もしなかったという事態が起こりえますので注意しましょう。



まとめ

上記を考慮すると、私は結局、法務系(弁護士・社労士)+カウンセラー(公認心理師・臨床心理士)+医療系(医師・産業医、保健師、看護師)の組み合わせが最もバランスが良いと思います。しかし、実際にそれを実現するのは難しいです。相談者が最初に相談する際に、どの属性の専門家が適切な対応をするのか判断することも難しいですね。

上記より、各機関が異なる属性の提携先を確保し、リファーをスムーズに行える環境を整備することが現実的だと思います。

それでは、なぜこれらのハラスメントの窓口設置・対応が必要なのでしょうか?
まず、法令によって相談窓口の設置が求められています。ハラスメントに関する法的な規定があり、これを遵守するためには相談窓口の設置が必要です。そして、ハラスメントが発生した場合には適切な対応が不可欠です。被害者のサポートや問題の解決に向けた手続きを行うことが重要です。
ハラスメントは根絶すべき問題です。職場環境を健全なものにするために、ハラスメントの予防と被害者への支援が必要です。

また、ハラスメント相談窓口の対応は労災認定にかかわることを知っておきましょう。

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、産業医・顧問医の受託をお受けしております。労務管理と一体になった産業保健業務を多職種連携で行います。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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