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【健診機関・産業医向け】じん肺健診における「じん肺の所見あり」の意味について

じん肺健診において、「じん肺の所見あり」という言葉が法令上よく出てきますが、「じん肺の所見あり」とはどのような状態でしょうか。
今回はこの点につき、解説いたします。


じん肺健診における「じん肺の所見あり」の意味について

じん肺の所見ありと区分、12階尺度について

まず、じん肺健診のエックス線写真ですが、まず、「じん肺の所見あり」と「じん肺の所見なし」の二つのカテゴリがあります。

「じん肺の所見あり」の場合は、第一型から第四型までに分類されます(じん肺法4条)。第一型から第四型と数が大きくなるにつれてエックス線写真上、悪い状態になります。

重要なポイントですが、じん肺の所見がない場合は、そもそも第一型にも該当しないということです。

じん肺法4条1項

第四条 じん肺のエックス線写真の像は、次の表の下欄に掲げるところにより、第一型から第四型までに区分するものとする。

(2項省略)

e-Gov じん肺法

じん肺法4条よりは、じん肺健診で「じん肺の所見あり」の方のエックス線写真を第一型から第四型までに分類すればいいだけなのですが、エックス線写真の所見はさらに細かい12階尺度というもので区分します。

この12階尺度については、「じん肺審査ハンドブック」に記載があります。この本は、じん肺健診に関わる方は熟読すべきマニュアルです。

じん肺審査ハンドブック (厚生労働省)

じん肺健康診断結果証明書(様式第3号)をよく見ると
「4.エックス線写真の像」の部分に像・区分・タイプ・粒状影などの記載がありますよね。
これがエックス線写真の読影の結果を12階尺度で記載する部分になります。

イ. 小陰影の区分
区分で、0/0、0/1とか記載していくのです。
これで、1/0よりも悪いものが、「じん肺の所見あり」とします。
「pqr」のタイプは影の大きさです。

ロ.大陰影の区分
A、B、Cのどれかがつくと、じん肺の所見ありとなります。

参考条文です。

じん肺法
(事業者によるエックス線写真等の提出)
第十二条 事業者は、第七条から第九条の二までの規定によりじん肺健康診断を行つたとき、又は前条ただし書の規定によりエックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他の書面が提出されたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、じん肺の所見があると診断された労働者について、当該エックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める書面を都道府県労働局長に提出しなければならない。

e-Gov じん肺法

じん肺法施行規則13条
(事業者によるエックス線写真等の提出の手続)
第十三条 法第十二条の規定による提出をしようとする事業者は、様式第二号による提出書にエックス線写真及び様式第三号によるじん肺健康診断の結果を証明する書面を添えて、当該作業場の属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)に提出しなければならない。

じん肺健康診断結果証明書(様式第3号)(第13条、第20条、第22条関係) 
e-Gov じん肺法施行規則

じん肺の健康管理 

以下はじん肺法4条2項であり、前述のじん肺法4条1項の続きです。

じん肺法4条2項
2 粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する労働者であつた者は、じん肺健康診断の結果に基づき、次の表の下欄に掲げるところにより、管理一から管理四までに区分して、この法律の規定により、健康管理を行うものとする。

「じん肺の所見あり」の場合、エックス線写真の像における区分(第一型~第四型)の分類に分けます。こちらについては、12階尺度が記載されたじん肺健康診断結果証明書(様式第3号)を提出された労働局が区分を行います。

そして、健康管理へつなげていきます。
この「健康管理を行うものとする」というのが事後措置につながる部分です。

前述のように、じん肺健診は「じん肺の所見あり」、つまりエックス線写真の所見により流れが変わるので、エックス線写真の読影は非常に重要です。

例えば、実は「管理二」であるにもかかわらず、当初のじん肺健診を行った医師が、読影で「管理一」相当であると判断すると、労働局へのエックス線写真の提出はなく、「管理一」が確定してしまいます。そのため、じん肺健診のエックス線写真の読影を、じん肺健診を行う医療機関において、どのようなドクターが読影しているかは非常に重要です。

まとめ

じん肺健診のエックス線写真ですが、まず、「じん肺の所見あり」と「じん肺の所見がない」に分かれます。

じん肺の所見がない場合には、そもそも、第一型にもあたりません。
「じん肺の所見あり」の場合は、第一型から第四型までに区分されます(じん肺法4条)。
第一型から第四型と数が大きくなるにつれてエックス線写真上、悪い状態になります。
区分を健康管理へつなげていきます。

前述のように、じん肺健診は「じん肺の所見あり」、つまりエックス線写真の所見により流れが変わるので、エックス線写真の読影は非常に重要です。
産業医・安全衛生担当者は、これをまず押さえておきましょう。

じん肺健診の事後措置については別記事になります。


 

 

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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