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【人事労務担当者・産業医向け】産業医は従業員と面談し、受診勧奨をする場合には紹介状を発行しましょう。

産業医は保健指導を行います。
もし、受診勧奨を行うのであれば、紹介状を発行しましょう。
産業保健現場における紹介状の発行の実務をお話しいたします。
今回の記事は初心者向けです。

産業医は従業員と面談し、受診勧奨をする場合には紹介状を発行しましょう。

 紹介状は、患者等に対して診療情報を提供することである。

「紹介状」とは、診療情報提供書の別称です。多くの方が、医師が発行する紹介状についてご存知だと思います。これは、患者様を別の病院に紹介する際に、相手方の病院に今までの経緯などを記載した書面を提供するものです。

診療報酬においては、「診療情報提供料」という項目が定められており、診療情報を提供すると診療報酬を得ることができます。通常は書面で行われるため、「診療情報提供書」と呼ばれます。
そして、医師会でも特に説明なく「紹介状」という言葉を使用しているようで、もはや一般的な用語となっています。

診療所法提供書に関しては以下の記事が参考になります。

 産業医が面談し受診が必要であると考えたら、診療情報提供書を作成しましょう。

産業医が何らかの面談を行い、面談者に受診を勧める必要があると判断した場合は、紹介状(診療情報提供書)を作成し、面談者に交付しましょう。
また、オンラインでの医師面談が一般的になっていますが、オンライン受診勧奨と遠隔健康医療相談は異なることに注意してください。
産業医の面談は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において、遠隔医療相談に含まれるとの記載がありますが、実際には、「疑われる疾患等を判断して、疾患名を列挙し受診すべき適切な診療科を選択するなど、患者個人の心身の状態に応じた必要な最低限の医学的判断を伴う受診勧奨」(オンライン受診勧奨)を行うことも多く、指針に従いオンライン受診勧奨としての対応がよいでしょう。

オンライン受診勧奨
 遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して患者の診察を行い、医療機関への受診勧奨をリアルタイムにより行う行為であり、患者からの症状の訴えや、問診などの心身の状態の情報収集に基づき、疑われる疾患等を判断して、疾患名を列挙し受診すべき適切な診療科を選択するなど、患者個人の心身の状態に応じた必要な最低限の医学的判断を伴う受診勧奨。

遠隔健康医療相談(医師)
 遠隔医療のうち、医師-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行い、患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言を行う行為。相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は伴わないもの。

オンライン診療の適切な実施に関する指針 平成(令和厚4年生301年3月月一部改訂)労働省指針

オンライン受診勧奨は医師以外はできません。産業医と面談した場合は、できるだけオンライン受診勧奨として対応を行いましょう。この際には、診療情報提供書を発行しましょう。

嘱託産業医業務における紹介状発行の実務

嘱託産業医の場合、原則として月に1回の勤務があり、その業務のためにデスクなどが与えられることはほとんどありません。
この点、問題になるのは紹介状を作成するためのプリンターでの印刷です。多くの場合、訪問先事業所ではプリンターが利用できません。
また、従業員との面談で、会社側に紹介状を発行したことが知られたくない場合もあり、プリンターを貸してもらいにくいです。
私はこういった場合には、手書きで記載することが多いです。
そして、産業医は本来、臨床検査を行わないため、データなどが手元にあることはあまりありません。
もし健診結果など、受診先にお送りするデータがある場合は、コピーして同封しましょう。

なお、保険診療に関する診療情報提供書には、次の通達に書式が記載されています。

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について
引用:保医発0305第3号平成26年3月5日

しかし、産業医が診療情報提供書を発行する場合、ほとんどが保険診療とは関係がないため、自由な書式で作成しても問題ありません。
私自身は手書きで記載することが多いため、シンプルな書式が好ましいです。
以下は、私の診療情報提供書の例です。

 

 病院への紹介状の送付について

大きな病院に受診する際には、診療情報提供書が必要な場合があります。医師の先生方はよくご存じかと思います。
その際には、病院内にある地域連携室などの相談窓口に連絡して、受診の相談を行います。
私は、個人医院であっても、受診先が決まっている場合は、受診可能かどうか必ず電話で確認します。

従業員本人が直接電話で受診の予約ができる場合もありますが、診療情報提供書や病院指定の予約表などを産業医からFAXで送信する必要がある場合があります。その際には、FAX送信後、受診予定の病院から予約確認票や受診票がFAXで送られてくることが多いです。
この場合の問題は、どこのFAXを使用するかが問題となります。本人の同意があれば、会社のFAXを使用することもできますが、そうでない場合は、別の方法を検討する必要があります。会社のFAXを使用する場合は、他の従業員が送信した内容を見たり、病院から送信された内容を見てしまう可能性があることに留意しましょう。
どうしてもFAXを使うのが難しければ、受診予定の病院の地域連携室等に相談してみましょう。

また、かかりつけ医がある場合は、そちらから紹介してもらうこともできます。この方法も検討しておくことをおすすめします。

 まとめ

産業医との面談で、受診を勧める場合は診療情報提供書(紹介状)が必要になることがあります。
オンライン受診勧奨は医師以外はできません。産業医と面談したのであれば、遠隔健康医療相談ではなく、オンライン勧奨として対応した方が無難です。

産業医がプリンターを使用できない場合は、手書きでの紹介状の発行も考えられます。
嘱託産業医の場合には、病院への紹介のためのFAX送信が問題となる場合があります。どちらのFAXを使用するかよく考えましょう。

せっかく産業医の面談を実施したのですから、診療情報提供書は発行しましょう。

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、産業医・顧問医の受託をお受けしております。労務管理と一体になった産業保健業務を多職種連携で行います。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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