事務所LAO – 行政書士・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント・海事代理士

【資格】医師の働き方改革で活躍できる「医療労務コンサルタント」資格は医療職が取得すると強いでしょう

医療労務コンサルタントという資格をご存じでしょうか。2024年から、医師の働き方改革が始まりますので、医療労務コンサルタントの重要性が増すかと思います。
今回は、医療労務コンサルタントについて解説します。

「医療労務コンサルタント」とは

医療労務コンサルタントは、医療機関における労務管理の特殊性や実務に関する知識を習得した社会保険労務士です。
つまり、社会保険労務士でないと取得できない資格になります。

社会保険労務士会では医療業界における労務管理分野の整備・充実に向けた取り組みの一環として、医療機関における労務管理の特殊性や実務に関する知識を習得した社会保険労務士「医療労務コンサルタント」を養成しています。病院・クリニック等の労務管理に関する問題解決のお手伝いをします!!

引用:大阪府社会保険労務士会ホームページ

この医療労務コンサルタントは医療業界における労務管理分野に強い社会保険労務士とのことです。よって、決して医師向けの労務管理だけというわけではなく、看護師などのパラメディカルの労務管理にも対応します。

ご存じの方は多いでしょうが、医師については、長時間労働の対応について改正がありました。詳しくは以下の記事を参照してください。

 医療労務コンサルタントになるには

前述のように、医療労務コンサルタントになるには、社会保険労務士でなければなれません。

まず、この医療労務コンサルタントは、社会保険労務士が所属する都道府県社会保険労務士会から研修を申し込まなければなりません。私の所属する大阪府社会保険労務士会では例年10月ごろに募集があるのですが、すぐに満席になってしまうようです。他の都道府県の社会保険労務士会はわからないのですが、まずは、申し込みが開始するであろう月に毎日、都道府県社会保険労務士会の研修のお知らせページをチェックして申し込みをすることが大切です。

その後、研修料金の振り込みのお知らせが届きますので振り込みましょう。私の時は5000円でした。

そして、研修ですが、まずはe-ラーニングから始まります。これがなかなかしっかりしている研修内容で、医師の働き方改革の内容についても、改正の背景について解説がよく分かりました。医師会の先生の講義部分もありました。

そして、e-ラーニングが終わったのち、日程が決まっているのですが、半日のグループワークがあります。
具体的な事例につき、グループで討論を行います。どうも、グループは、都道府県社会保険労務士会の中の各支部ごとで構成されるようです。特に修了試験はありません。

医師(産業医)が医療労務コンサルタントになる強み

私は医師ですが、医師(産業医)が医療労務コンサルタントになった場合には、医師の働き方についてよく知っていることが強みだと思いました。

例えば、医師の場合、メインの勤務先(病院)に週5日ではなく、3日から4日で勤務する場合も多く、のこりの1~2日を伝統的に「研究日」と呼び、この日にアルバイト等を行うことがよくあります。このアルバイトの勤務時間については、労働時間のカウントや労災の適用など、様々な論点があります。

例えば、病院等にとって、どこかの医局に頼んで来てもらった先生が、ほかの医療機関で労働時間のカウントが通算される当直アルバイトをしていることが分かった場合、労務管理上の問題から、その当直バイトをやめてくださいと言いたいところでしょう。しかし、実は、そのアルバイトが医局の教授から当該医師へお願いされたものでしたといった場合、どうでしょうか。もめそうですよね。

近年、大学病院等の勤務医の年収が低いと話題に上りますが、勤務医はこの「研究日」でアルバイトに出かけ、収入を確保することがよくあります。このアルバイト先での勤務は労働時間にカウントされる場合があるため注意が必要です。医師にとっては有名な話ではあるのですが、非医師の方々にとっては一般的な話ではありません。また、看護師の夜勤がある勤務体系についても非医療職にとっては、かなり特殊です。

当直についても、宿日直許可を受けているかは労働時間に大きな影響を及ぼしますが、この宿日直許可についても要件があり、知っておかなければなりません。以下のリンクを参照しましょう。

医療機関における宿日直許可 ~申請の前に~ 厚生労働省

また、医師が医療労務コンサルタントとして活動する場合には、要件を満たせば、長時間労働の面談を自分で行うことができるのもメリットかと思います。

これまでの時代、医師は自己研鑽との名目により時間外勤務に無頓着な面がありました。しかし、2004年からの臨床研修必須化以降、研修医の勤務時間がきちんと管理されることが多くなり、現在の若い医師は、時間外勤務について、しっかりとしたリテラシーを有しているようです。私はいいことだと思うのですが、その分、いわゆる中間管理職の医師に負担がかかっていることも多いようです。今回の医師の働き方改革は、これらの問題について大きなインパクトがありそうです。

こちらが医療労務コンサルタントの修了証になります。

 まとめ

医療労務コンサルタントは、医療機関における労務管理の特殊性や実務に関する知識を習得した社会保険労務士です。
2024年から医師の働き方改革が開始いたしますが、医療労務コンサルタントの果たす役割は大きいものになると思われます。

もし、医師が社労士であれば、医療労務コンサルタントになれば、医療現場の働き方を知っているので大きな強みになるでしょう。長時間労働の面談も自分で行うことができることも強みになるでしょう。

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、産業医・顧問医の受託をお受けしております。労務管理と一体になった産業保健業務を多職種連携で行います。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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