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【安全衛生・プロ向け記事】特定業務従事者健診を行うべき有害業務と詳細について

皆様は「特定業務従事者健診」という言葉をご存じでしょうか?ひょっとしたら「ああ、深夜の健診ね」と思われるかもしれません。
この特定業務従事者健診は、特定業務に従事している労働者に対して行われるべき健康診断ですが、実際に適切に運用している事業所は少ないのではないかと考えられます。
今回は、この健診について分かりやすくまとめたいと思います。

有害業務において、特殊健診だけでなく一般健診が必要な場合があります。

はじめに

健康診断ですが、一般健診と特殊健診があるのはご存じかと思います。
化学物質の使用や粉じん作業などの有害業務を行う際に行うのが特殊健診という覚え方をされている方が多いと思いますが、有害化学物質の使用など有害業務を行う場合にに一般健診を行わなければならない場合があります。

化学物質を使用していて一般健診?と思われる方もおられるでしょう。
実は、化学物質を使用する場合に、一般健診の一種、特定業務従事者健診を行わなければならない場合があるのです。
よく間違われたり、お問い合わせがあるので、今回はそのお話をいたします。

なお、健康診断の事後措置に関する記事はこちらです。



 特定業務従事者健診を行わなければならない場合

例えば、有害業務として、特化物を扱う場合、特化物健診で必要ですが、労働安全衛生法施行令22条2項に、「有害な業務」につき規定されており、これに該当する場合には、特化則39条2項により、特化物健診が必要です。こちらは特殊健診となります。
そして、一般健診の中に特定業務従事者健診というのがあり、対象業務に従事する労働者に対して、当該業務への配置替えの際及び6カ月以内ごとに1回、定期に、定期健康診断の項目について健康診断を行わなければなりません(労働安全衛生規則45条)。

労働安全衛生規則
(特定業務従事者の健康診断)
第四十五条 事業者は、第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、一年以内ごとに一回、定期に、行えば足りるものとする。
2 前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において第四十四条第一項第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目について健康診断を受けた者については、前項の規定にかかわらず、医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略して行うことができる。
3 第四十四条第二項及び第三項の規定は、第一項の健康診断について準用する。この場合において、同条第三項中「一年間」とあるのは、「六月間」と読み替えるものとする。
4 第一項の健康診断(定期のものに限る。)の項目のうち第四十四条第一項第三号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、前回の健康診断において当該項目について健康診断を受けた者又は四十五歳未満の者(三十五歳及び四十歳の者を除く。)については、第一項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。

引用 e-Gov: 労働安全衛生規則

その対象業務ですが、以下となります(労働安全衛生規則13条3項)。
そして、その詳細については、それぞれ通達があります。通達は下の方の参考資料に載せておきます。

(※安全衛生規則第13条1項第2号に掲げる業務の詳細)
労働安全衛生規則13条3項
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
ヘ さく岩機、鋲びよう打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
カ その他厚生労働大臣が定める業務

引用 e-Gov:労働安全衛生規則

特定業務はこれだけあります。多いですよね。

特定業務従事者健診を実施すべきかの具体的な例①(特化物関連について)


ここで、以下、「ル」、「ヲ」に注目してみましょう。

ル  水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ  鉛、水銀、クロム、ヒ素、黄リン、フッ化水素、塩素、塩酸、硝酸,亜硫酸,硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸,ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉塵を発散する場所における業務

水銀、ヒ素、フッ化水素酸等が「ル」と「ヲ」の両方に入っていますね。
はい、この違いですが、水銀に着目してみましょう。

「ル」は水銀を「取り扱う業務」です。
「ヲ」は水銀を「発散する場所における業務」です。

つまり、水銀は特化物ですので、取り扱っている場合は特化物健診が必要ですが、同時に特定業務従事者健診も必要なのです。
「ル」の「取り扱う業務」については通達があります。

ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務とは、これらのものが直接人体に接触又は接触しやすい業務をいう。従ってこれらのものを製造工程等で直接取扱う業務は概ねこの範囲に属しこれらのものを入れた瓶などの包装等の業務はこの範囲に属さない。
(S23.10.1基発第1456号)

では、12の「発散する場所」とはどのような場所でしょう。
これに関しても通達があります。

ヲ 作業場の空気が、以下の物質のガス、上記又は粉じんを以下の限度以上に含有する場所をいう。
 鉛(0.5mg/㎥)、水銀(0.1mg/㎥)(特化物第2類)、クロム(0.5mg/㎥)、砒素(1ppm)、黄りん(2ppm)、弗化水素、塩素(1ppm)、塩酸(10ppm)、硝酸(40ppm)、亜硫酸(10ppm)、硫酸(5g/㎥)、一酸化炭素(100ppm)、二硫化炭素(20ppm)、青酸(20ppm)、ベンゼン(100ppm)、アニリン(7ppm)その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

これを見ますと。水銀(0.1mg/㎥)以上が該当することとなっていますので、この濃度未満であれば特定業務従事者健診を行わなくていいことになります。では、実際にどのように健診の違いが生じるかというと。

例えば、同じ作業場で、環境中の水銀が0.1mg/㎥ 以上の場所で作業を行う、AさんとBさんがいたとします。


Aさん・・・環境中の水銀が0.1mg/㎥ 以上の場所において、水銀を取り扱う
→水銀の特化物健診、特定業務従事者健診「ル」と「ヲ」に該当
ということで、特化物健診と特定業務従事者健診を6か月以内に一度行わなければなりません。


Bさん・・・環境中の水銀が0.1mg/㎥ 以上の場所において水銀を取り扱わない業務をしている。
特定業務従事者健診「ヲ」に該当、取り扱わないので特化物健診は必要がない
ということで、Bさんは、取り扱わないので、特化物健診は必要ないですが、特定業務健診は必要となります。

このように、化学物質を扱う場合に特定業務従事者健診を行わなければならない場合があることに留意しておきましょう。

特定業務従事者健診を実施すべきかの具体的な例② (第3類特化物)

また、塩酸、硝酸は特化物の三類であり、通常は特化物健康診断が必要ありませんが
「ル」に該当する場合には、特定業務従事者健診を行わないといけません。
例えば、塩酸、硝酸、硫酸は第三類特化物であり、これらを取り扱う業務である場合は特化物健診は必要ありませんが、特定業務従事者健診が必要ということになります。

特化物の健診で注意すべきこと 

まず、「ル」を見ましょう。

特定業務
ル 水銀、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務


ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務当該業務とは、これらのものが直接人体に接触又は接触しやすい業務をいう。従ってこれらのものを製造工程等で直接取扱う業務は概ねこの範囲に属しこれらのものを入れた瓶などの包装等の業務はこの範囲に属さない。
(S23.10.1基発第1456号)

「水銀」、「ヒ素」、「青酸」(シアン化ナトリウム)は特化物ですよね。
これらを取り扱う場合には特化物健診を6か月以内に一度行っていると思いますが、皆様は血圧を測っていますでしょうか?

というのも、「ル」の「取り扱う業務」に該当する場合には、特定業務従事者健診を行わなければなりません。
この場合、例えば、ヒ素の特化物健診には血圧が含まれていないので、特定業務従事者健診の血圧測定が必要となります。

特定業務従事者健診を実施すべきかの具体的な例③ (深夜業の定義と頻度について)

特定業務従事者健診を行わなければならない場合に深夜業を含む業務がありますが、こちらは一般的に「前六月間を平均して一月当たり四回以上同条の深夜業に従事したこと」が深夜業の基準として適用されることがありますが、これは深夜業従事者の自発的健康診断の基準を根拠とするものです。
特定業務従事者健診の場合は「業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行うもの」ということになります。

ヌ 深夜業を含む業務
 業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行うものである。
(S23.10.1基発第1456号)

労働安全衛生法66条の2、安衛則50条の2)
労働安全衛生規則 (自発的健康診断)
第五十条の二 法第六十六条の二の厚生労働省令で定める要件は、常時使用され、同条の自ら受けた健康診断を受けた日前六月間を平均して一月当たり四回以上同条の深夜業に従事したこととする。


労働安全衛生法(自発的健康診断の結果の提出)
第六十六条の二 午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間における業務(以下「深夜業」という。)に従事する労働者であつて、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断(前条第五項ただし書の規定による健康診断を除く。)の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。
 特定業務従事者健診においては「ヌ」にあるように業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行う場合に実施が必要となります。(S23.10.1基発第1456号)

e-Gov:労働安全衛生法
e-Gov:労働安全衛生規則

 


まとめ

このように、特定業務従事者健診は一般健診の一種とはなりますが、有害業務において行わなければならない場面があり、注意が必要です。
以下に健康診断を実施すべき特定業務に関する指針のまとめを載せておきましたので参考にしてください。
特に、深夜業の基準については誤解される場合も多いので注意しましょう。
また、特化物「水銀、ヒ素、黄リン、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸、その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務」は特化物健診とリンクしますので重要です。

産業医・労働衛生コンサルタントは、上記につき、注意しましょう。

おまけ資料

特定業務従事者健診における、特定業務の詳細について
安全衛生規則第13条1項第2号に掲げる業務の詳細


イ 多量の高熱物体を扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務「多量の高熱物体を扱う業務」とは、溶解又は灼熱せる鉱物、煮沸されている液体等摂氏100度以上のものを取り扱う業務をいう。
 「著しく暑熱な場所」とは労働者の作業する場所が乾球温度摂氏40度、湿球温度摂氏32.5度、黒球寒暖計示度摂氏50度又は感覚温度32.5度以上の場所をいう。
(S23.8.12基発第1178号)


ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
 「低温物体を取り扱う業務」とは、液体空気、ドライアイスなどが皮膚に触れるおそれのある業務をいう。
 「著しく寒冷な場所」とは乾球温度摂氏零下10度以下の場所をいう。
 空気の流動ある作業場では気流1秒あたり1メートルを加える毎に乾球温度摂氏3度の低下があるものとして計算する。
 冷蔵倉庫業、製氷業、冷凍食品製造業における冷蔵庫、貯水庫、冷凍庫等の内部における業務等が該当する。
(S23.8.12基発第1178号)


ハ ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
 「その他の有害放射線」とは紫外線、可視光線、赤外線等であって強烈なもの及びラジウム以外の放射性物質例えばウラニウム、トリウム等よりの放射線をいう。従って本号にいう業務とは、ラジウム放射線、エックス線、紫外線を用いる医療、検査の業務、可視光線を用いる映写室内の業務、金属土石溶解炉内の監視の業務等である。
(S23.8.12基発第1178号)


「紫外線」とは、可視光線より波長が短い電磁波をいう。紫外線は物理的には若干の電離作用を有し、おおむね300ミリミクロンよりも短波長では人体に有害となる。
 該当業務としては、例えば、アーク溶接・溶断、ガス溶接・溶断、殺菌、検査等の業務をいう。
(S53.3.30基発第186号)


「赤外線」とは、可視光線よりも波長が長い電磁波をいう。おおむね760ミリミクロンよりも長波長の強烈な赤外線照射による障害は永久的であり蓄積的であって、紫外線の眼に対する障害が一時的であるのと対照である。該当業務としては、例えば、製鉄、鉄鋼、ガラス等の炉前作業、造塊などの高熱物体取扱作業、赤外線乾燥作業の業務がある。


ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
 「土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所」とは、植物性(綿、糸、ぼろ、木炭等)動物性(毛、骨粉等)鑛物性(土石、金属製)の粉じんを、作業する場所の空気1立方センチメートル中に粒子数1,000個以上又は1立方メートル中15ミリグラム以上を含む場所をいう。
 特に遊離硅石50パーセント以上を含有する粉じんについては、その作業する場所の空気1立方センチメートル中に粒子数700個以上又は1立方メートル中10ミリグラム以上を含む場所をいう。
(S23.8.12基発第1178号)


ホ 異常気象下における業務
 「異常気象下における業務」とは、次に掲げる高気圧下又は低気圧下における業務をいう。
 【高気圧下における業務】
 潜函工法、潜鐘工法、圧気シールド工法その他の圧気工法による大気圧を超える圧力下の作業室、シャフト等の内部における業務
 ヘルメット式潜水器、マスク式潜水器、その他の潜水器(アクアラング等)を用い、かつ、空気圧縮機もしくは手押しポンプによる送気又はボンベからの給気を受けて行う業務。
 【低気圧下における業務】
 海抜3,000メートル以上の高山における業務
(S42.9.8安発第23号)


 「潜函工法」とは、水底又は地下水の湧水地層中に建設物を構築する等の場合に利用される工法で、作業室を構築し、作業室内の土砂を掘削しつつこれを沈めるものである。
 「潜鐘工法」とは、水底に建設物を構築する場合に利用される潜函工法類似の工法である。この工法は、鐘を水底におろし底部を開き、掘削するもので、掘削の深さが浅いことが潜函工法と異なる主なものである。
 「圧気シールド工法」とは、隧道掘削等に利用される工法で、湧水の多い場合にその採進先端にいわゆるシールドを投入し、これに圧縮空気を送気して内部の湧水を押えて採進する工法である。
 「その他の圧気工法」とは、例えば、隧道掘削に利用される工法等をいい、圧気シールド工法と類似するがシールドを使用しないで、圧縮空気を送気して行なう種類のものをいう。
 「シャフトにおいて行なう業務」とは、通常の作業状態ではこの作業ではないが、修理等のため、シャフトでの業務を行なう場合も含まれる趣旨を明らかにしたものである。
(S36.4.22基発第368号)


へ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
 衝程70ミリメートル以下及び重量2キログラム以下の鋲打機はこれに含まれない。
 上記以外のさく岩機、鋲打機等を使用する業務はすべて該当する。
(S23.8.12基発第1178号)


ト 重量物の取扱い等重激な業務
 「重量物の取扱い等重激な業務」とは30キログラム以上の重量物を労働時間の30%以上取扱う業務及び20キログラム以上の重量物を労働時間の50%以上取扱う業務をいう。
(S23.8.12基発第1178号)


チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
 「強烈な騒音を発する屋内作業」とは、等価騒音レベル90デシベル以上の屋内作業場をいう。
 「等価騒音レベル」とは、時間とともに変動する騒音がある場合、そのレベルを、ある測定時間内でこれと等しいエネルギーを持つ定常騒音レベルで表示したものであること。
(H4.8.24基発第480号)


リ 坑内における業務
 労働基準法における坑とは、鉱山についていえば、一般に地下にある鉱物を試搾又は採掘する場所及び地表に出ることなしにこの場所に達するためにつくられる地下の通路をいう。
 当初から地表に貫通するためにつくられ、かつ、公道と同様程度の安全衛生が保障されており、かつ、坑内夫以外の者の通行が可能である地下の通路は労働基準法の坑ではない。
 本来地下にある鉱物を試掘又は採掘する場所に達するためにつくられた地下の通路がたまたま地表に貫通しても、あるいは地勢の関係上部分的に地表にあらわれても、これが公道と同様な程度の安全衛生を保障されるに至り、かつ坑内夫以外の者の通行が可能である通路に変化しない限り労働基準法の坑である性質は変化しない。
(S25.8.11基発第732号)
 よって、鉱山以外について例えば、建築中のずい道内部が「坑」に該当するか否かは、上の解釈例規に準じて解釈すべきである。


ヌ 深夜業を含む業務
 業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行うものである。
(S23.10.1基発第1456号)
 一般的に「前六月間を平均して一月当たり四回以上同条の深夜業に従事したこと」が深夜業の基準として知られていますが、これは深夜業従事者の自発的健康診断の基準を根拠とするものです。
(安衛法66条の2、安衛則50条の2)


ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務とは、これらのものが直接人体に接触又は接触しやすい業務をいう。従ってこれらのものを製造工程等で直接取扱う業務は概ねこの範囲に属しこれらのものを入れた瓶などの包装等の業務はこの範囲に属さない。
(S23.10.1基発第1456号)


ヲ 作業場の空気が、以下の物質のガス、上記又は粉じんを以下の限度以上に含有する場所をいう。
 鉛(0.5mg/㎥)、水銀(0.1mg/㎥)(特化物第2類)、クロム(0.5mg/㎥)、砒素(1ppm)、黄りん(2ppm)、弗化水素、塩素(1ppm)、塩酸(10ppm)、硝酸(40ppm)、亜硫酸(10ppm)、硫酸(5g/㎥)、一酸化炭素(100ppm)、二硫化炭素(20ppm)、青酸(20ppm)、ベンゼン(100ppm)、アニリン(7ppm)その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務


その他これらに準ずる有害物とは、次のものをいう。
鉛の化合物、水銀の化合物(朱のような無害のものを除く)、リン化水素、砒素化合物、シアン化合物、クロム化合物、臭素、硫化水素、硝気(酸化窒素類)、アンモニア、ホルムアルデヒド、エーテル、酢酸アミル、四塩化エタン、テレピン油、芳香族及びその誘導体、高濃度の炭酸ガス、但し分量軽少で衛生上有害でない場合はこれを含まない。
(S23.8.12基発第1178号)


「これらに準ずる有害物」には、エチレンオキシドが該当すること。
(H13.4.27基発第413号)


ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
 「病原体によって汚染のおそれが著しい業務」とは、患者の検診及び看護等の業務、動物又はその屍体、獣毛、皮革、その他動物性のもの及びぼろその他古物を取り扱う業務、湿潤地における業務。伝染病発生地域における防疫等の業務をいう。
(S25.10.1基発第1456号)


 「患者の診療もしくは看護の業務」とは、病院又は診療所において医師の行う患者の診断、検査、もしくは治療又は看護師等の行う看護の業務をいう。
 「研究その他の目的で病原体を取扱う業務」とは、病院又は診療所において診療放射線技師、診療エックス線技師、臨床検査技師、衛生検査技師等の行う上記以外の業務であって、細菌、ウイルス等の病原体によって汚染のおそれのある業務並びに病院又は診療所以外の衛生試験所、医学研究所、保健所等において医師、研究者又はこれらの助手等の行う研究、検査及びこれらの業務に付随する業務であって、病原体によって汚染のおそれのある業務をいう。
(S53.3.30基発第186号)


カ その他の厚生労働大臣が定める業務(未設定)

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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