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【心理学・人事労務担当者向け】アッシュの同調理論とシステムズアプローチ

アッシュの同調理論という理論についてご存じでしょうか?
心理学の用語として、「同調行動」という概念が存在します。これは、個人や集団において、一方の行為者が他方の行動や態度、感情などに合わせることを指します。システムズアプローチの中で、同調行動が発生しているのではないかと思われる場面も時々見受けられます。今回は、同調理論の解説を通じて、こうした状況・現象に少しでも気づくことができればと思います。

 アッシュの同調実験

有名なのがアッシュの実験です。
簡単に説明しますと、

標準線と同じ長さのカードはA、B、Cどれでしょうか?
と個人へ質問します。その人は、1人だけで、周りに誰もいません。
今、このブログを読んでいる方もそのような状況ではないでしょうか。

繰り返しますが、これは一人だけしかいない場合に、その人に尋ねる場合です。
さて、どれでしょうか?
Aですよね。

皆様はあってましたでしょうか?
アッシュの実験でも誤回答はほぼありませんでした。

しかし、集団となったときは違いました。
集団で、被験者と他がサクラだった場合で、サクラが間違えた答えを答えます。
そして、その誤回答が4人以上になると、被験者が間違える可能性が30%を超えてしまいました。

図のように、Cと誤った回答をするよう指示された「サクラ」が4人連続すると、被験者もCと回答する可能性は30%を超えることがあります。

つまり、集団の圧力(同調圧力)によって、被験者の行動が変化したのですね。自分一人で考える場合、正確な判断ができても、集団の中では誤った判断をしてしまうことがあります。

しかし、この実験の驚くべき点は、サクラが一人でも正しい答えを示すと、被験者の誤った回答率が10%以下になるということです。

集団で当たり前になっていることについて、皆が「これはおかしいんじゃないか?」と思っていても、つい継続されてしまう場合、一人でも「おかしいんじゃないか」と発言することで、同調圧力が排除され、問題が改善される可能性があります。

システムズアプローチを応用する場合、同調によって円環的因果関係が生じている可能性がある場合、誰かが問題を指摘することで円環的因果関係が減退していく可能性があります。

この手法は、時に抵抗が生じることがあります。このような場合、相当なエネルギーが必要ですね。

多くの場合、この同調の解除について、最終的に関わってゆくかどうかは、クライエント企業が本気で取り組むかどうかによります。

また、この同調理論によると、悪意のある者が会議などで、自分の思う通りの答えを参加者の多数に答えさせると、少数のメンバーが間違っていると思っていたとしても、少数者が多数の結論に賛同してしまうということになります。

多数の人と違う意見を発言できるということは大切なのです。

なお、組織の意思決定をマネジメントする手法の一つとして、このような同調やバイアスを除くために、1人の人がずっと批判的な意見を述べる役割をもつという方法もあります。

 まとめ

アッシュの同調理論についてお話しました。同調は必ずしもデメリットばかりではありませんが、円環的因果関係の発生の一因となることもあることは知っておきましょう。

このような、同調の発生により円環的因果関係が引き起こされているような場面について、どのように関わるべきか悩むことがあります。

一人が異なる意見を持ち、それを発言することは重要です。組織内で多くの人と異なる意見を発信できる環境づくりは、同調を解除するためにも重要です。

自分と違う意見は大切にしましょう。

 

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、メンタルヘルスに関する、コンサルティング業務を行っております。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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