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化学物質の管理を解説

2023/07/09 2023/07/10

【化学物質】保護具着用管理責任者の要件と選任について解説

2024年4月1日から、リスクアセスメントに基づく措置として労働者に保護具を使用させる事業場において、保護具着用管理責任者の選任が義務化されます。最近では、クライエント企業様から保護具着用管理責任者に関する質問が増えています。この保護具着用管理責任者の規定は広範であり、今回は保護具着用管理責任者の要件と選任方法について、分かりやすく解説します。保護具着用管理責任者の業務内容については、別途記事で説明させていただきます。

保護具着用管理責任者の選任の義務化について

保護具着用管理責任者に関する法令

まず、リスクアセスメントに基づく措置として労働者に保護具を使用させる事業場において、保護具着用管理責任者の選任が義務化されます。
また、皮膚等障害化学物質等への直接接触の防止と保護具の規定があり、事業所は、SDSやGHS等より、リスクアセスメントを実施し、労働者に保護具を使用させなければなりませんが、この際に保護具着用管理責任者を選任する必要があります。こちらの条文は、労働安全衛生規則594条と、594条の2になります。

では、保護具着用管理責任者の条文を見ていきましょう。労働安全衛生規則12条の6になります。
ただし、まだ労働安全衛生規則の改正施行日(2024年4月1日)に達していないことに留意してください。
青色でハイライトされた箇所が、保護具着用管理責任者が担当するべき業務となります。
この業務に関する詳細については、別の記事で説明させていただきます。

労働安全衛生規則(保護具着用管理責任者の選任等)
第十二条の六 化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、
 労働者に保護具を使用させるときは、保護具着用管理責任者を選任し、次に掲げる事項を管理させなけ
 ればならない。
 一 保護具の適正な選択に関すること。
 二 労働者の保護具の適正な使用に関すること。
 三 保護具の保守管理に関すること。
2 前項の規定による保護具着用管理責任者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
 一 保護具着用管理責任者を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること。
 二 保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから選任すること。
3 事業者は、保護具着用管理責任者を選任したときは、当該保護具着用管理責任者に対し、第一項に掲
 げる業務をなし得る権限を与えなければならない。
4 事業者は、保護具着用管理責任者を選任したときは、当該保護具着用管理責任者の氏名を事業場の見
 やすい箇所に掲示すること等により関係労働者に周知させなければならない。

※ 労働安全衛生規則 施行日前です。

つまり、労働安全衛生規則12条の6において、以下の項目が規定されています。
1項:保護具着用管理責任者の職務に関する事項
2項:保護具着用管理責任者の要件と選任に関する事項
3項:保護具着用管理責任者への権限付与の義務
4項:周知義務に関する事項

保護具着用管理責任者の要件について

保護具着用管理責任者の要件は、二つあります

労働安全衛生規則12条の6第2項に保護具着用管理責任者の要件については、「保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから選任すること」と明記されています。
その具体的な内容については、以下の通達に記載があります。

まとめますと次の、(1)または(2)の者を選任しなければなりません。

(1)①~⑥の資格要件(緑ハイライト)に加え、保護具の管理に関する教育(黄色ハイライト)が努力義務
(2)(1)の要件の者を選任することができない場合は、「保護具の管理に関する教育」を受講した者です。

以下、詳細を解説します。

(2)安衛則第12条の6第2項関係
本項第2号中の「保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者」には、次に掲げる者が含まれること。なお、次に掲げる者に該当する場合であっても、別途示す保護具の管理に関する教育を受講することが望ましいこと。また、次に掲げる者に該当する者を選任することができない場合は、上記の保護具の管理に関する教育を受講した者を選任すること。
① 別に定める化学物質管理専門家の要件に該当する者
② 9(1)ウに定める作業環境管理専門家の要件に該当する者
③ 法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験に合格した者
④ 安衛則別表第4に規定する第1種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許を受けた者
⑤ 安衛則別表第1の上欄に掲げる、令第6条第18号から第20号までの作業及び令第6条第22号の作業に応じ、同表の中欄に掲げる資格を有する者(作業主任者)
⑥ 安衛則第12条の3第1項の都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を終了した者その他安全衛生推進者等の選任に関する基準(昭和63年労働省告示第80号)の各号に示す者(安全衛生推進者に係るものに限る。)

労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について 基発0531第9号 令和4年5月31日

この、資格要件である①~⑥(緑ハイライト部分)について解説します。

①化学物質管理専門家と、②作業環境管理専門家について

この作業環境管理専門家と化学物質管理専門家は、化学物質の自律的な管理において新たに設けられた専門家です。
はっきり言って、要件は非常にハードルが高いです。化学物質管理専門家は、作業環境管理専門家の上位資格になります。化学物質管理専門家の育成については、別の記事で詳しく説明いたしますが、自社内での化学物質管理専門家の養成は、条件が合わないため実現困難な場合が多いかと思います。

③労働衛生コンサルタント試験に合格した者

労働衛生コンサルタント試験は、受験要件があり、なかなか受験したくてもできない方がおられます。また、労働衛生コンサルタント試験自体が難関であるため、自社内での育成はなかなか難しいと思われます。受験資格も制限されていますので、以下のサイトを参考にしてください。

なお、保護具着用管理責任者における労働衛生コンサルタントの区分は、保健衛生でも、衛生工学でもどちらでもよいようです。
この点、化学物質管理専門家や、作業環境管理専門家の要件としては、労働衛生コンサルタントの衛生工学と限定されています。

公益財団法人 安全衛生技術試験協会
受験資格 労働衛生コンサルタント

引用元:https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikakueisei.htm

なお、この要件は「合格した者」とされており、登録や開業の有無は問われないことになっています。

④ 安衛則別表第4に規定する第1種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許を受けた者

第1種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許の取得がこの要件とされていますが、この要件は多くの事業所で実現可能であると考えられます。第2種は有害業務が省かれているので、有害業務に対応可能な第1種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許を受けた者となっています。

衛生管理者試験の受験については、以下の記事で詳しく解説しています。

⑤ 安衛則別表第1の上欄に掲げる、令第6条第18号から第20号までの作業及び令第6条第22号の作業に応じ、同表の中欄に掲げる資格を有する者(作業主任者)

こちらでは、作業主任者の資格がある者が保護具着用管理責任者になる場合を考えています。この作業主任者の種類を、法令より確認すると、具体的には、特化物作業主任者、有機溶剤作業主任者、鉛作業主任者があります(労働安全衛生法施行令 6条18号から20号)。

ここで注意が必要なのは、保護具着用管理責任者は、リスクアセスメントに基づく措置として労働者に保護具を使用させる事業場において、選任が必要です。リスクアセスメント対象物は、非常に広く、特化物、有機溶剤、鉛はその一部になります。

つまり、特化物、有機溶剤、鉛を使用していない事業場で、保護具着用管理責任者を選任する場合においても、たまたま、特化物(四アルキル鉛等を含む)作業主任者、有機溶剤作業主任者、鉛作業主任者の資格を有する者がいれば、その方々に保護具着用管理責任者を行ってもらってもよいのです。

この話は結構重要で、広い大規模な事業場であれば、特化物(四アルキル鉛等を含む)作業主任者、有機溶剤作業主任者、鉛作業主任者の資格がある方で手分けして業務を行うことが可能になるということです。

労働安全衛生法施行令 6条18号から20号
(抜粋)
十八 別表第三に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業及び同表第二号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを除く。)
十九 別表第四第一号から第十号までに掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。)に係る作業
二十 別表第五第一号から第六号まで又は第八号に掲げる四アルキル鉛等業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除くものとし、同表第六号に掲げる業務にあつては、ドラム缶その他の容器の積卸しの業務に限る。)に係る作業

二十二 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤(当該有機溶剤と当該有機溶剤以外の物との混合物で、当該有機溶剤を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するものを含む。第二十一条第十号及び第二十二条第一項第六号において同じ。)を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるものに係る作業

e-Gov 労働安全衛生法施行令

なお、青色ハイライト、「別表第六の二に掲げる有機溶剤」については、以下の記事を参照してください。

⑥ 安衛則第12条の3第1項の都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を終了した者その他安全衛生推進者等の選任に関する基準(昭和63年労働省告示第80号)の各号に示す者(安全衛生推進者に係るものに限る。)

こちらについては、労働安全衛生法施行規則12条の3の条文を見てみましょう。安全衛生推進者等に関する条文になります。
「都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者」とばっちり書いてありますね。

なお、重要なことですが、通達の記載、「(安全衛生推進者に係るものに限る。)」は、「安衛則第12条の3第1項の都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を終了した者」にかかっていきますので、衛生推進者の講習では要件を満たさず、安全衛生推進者の講習を修了しなければならないようです。
化学物質は衛生の属性なので、安全は関係なさそうなのですが、注意しましょう。

(安全衛生推進者等の選任)
第十二条の三 法第十二条の二の規定による安全衛生推進者又は衛生推進者(以下「安全衛生推進者等」という。)の選任は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他法第十条第一項各号の業務(衛生推進者にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当するため必要な能力を有すると認められる者のうちから、次に定めるところにより行わなければならない。
一 安全衛生推進者等を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること。
二 その事業場に専属の者を選任すること。ただし、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任するときは、この限りでない。
2 次に掲げる者は、前項の講習の講習科目(安全衛生推進者に係るものに限る。)のうち厚生労働大臣が定めるものの免除を受けることができる。
一 第五条各号に掲げる者
二 第十条各号に掲げる者

e-Gov 労働安全衛生法施行規則

安全衛生推進者については、厚労省HPにて、以下のように説明されています。50人以上の事業場の場合は、衛生管理者の選任が必要ですが、衛生管理者の選任の必要のない、10人以上50人未満の事業場で労働者の安全や健康確保などに係わる業務を担当する者です。

安全管理者及び衛生管理者の選任が義務づけられていない中小規模事業場の安全衛生水準の向上を図るため、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任し、労働者の安全や健康確保などに係わる業務を担当させなければなりません(安全管理者の選任対象外の業種では安全衛生推進者に代わり衛生推進者を選任し、衛生にかかる業務を担当させます)。

安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。(厚生労働省)

なお、厚生労働大臣が定める者(緑ハイライト部分)については以下の通達があります。

労働安全衛生規則第十二条の三第一項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者

労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第十二条の三第二号の規定に基づき、厚生労働
大臣が定める者を次のように定める。

   労働安全衛生規則第十二条の三第一項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者

労働安全衛生規則第十二条の三第一項第二号に規定する厚生労働大臣が定める者は、次のとおりとする。
一 安全管理者又は衛生管理者の資格を有する者で、当該資格を取得した後五年以上安全衛生の実務
  (衛生推進者にあつては、衛生の実務)に従事した経験を有するもの
二 厚生労働省労働基準局長が前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認める者
労働安全衛生規則第十二条の三第一項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者

そして、もう一つ要件がありますね。
「その他安全衛生推進者等の選任に関する基準(昭和63年労働省告示第80号)の各号に示す者」があります。
昭和63年労働省告示第80号を見てみましょう。以下の要件に該当すれば、安全衛生推進者等となりますので、保護具着用管理責任者となれます。

安全衛生推進者等の選任に関する基準を次のように定める。

安全衛生推進者等の選任に関する基準

労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第十二条の三第一項に規定する労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第十条第一項各号の業務を担当するため必要な能力を有すると認められる者は、次のとおりとする。

一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。)又は高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。)を卒業した者(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者若しくはこれと同等以上の学力を有すると認められる者又は同法による専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)で、その後一年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあつては、衛生の実務。次号及び第三号において同じ。)に従事した経験を有するもの

二 学校教育法による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を含む。)又は中等教育学校を卒業した者(学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第百五十条に規定する者又はこれと同等以上の学力を有すると認められる者を含む。)で、その後三年以上安全衛生の実務に従事した経験を有するもの

三 五年以上安全衛生の実務に従事した経験を有する者

四 前三号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者

安全衛生推進者等の選任に関する基準(昭和六十三年九月五日 労働省告示第八十号)

「前三号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者」(青色ハイライト部分)については、昭和63年12月9日、基発748号に記載があります。(※インターネット上で引用先がないのでここでは示しません。)

ここで注意が必要です。繰り返しますが、保護具着用管理責任者はリスクアセスメントに基づき、労働者に保護具の使用を義務付ける事業場で必要とされます。リスクアセスメント対象物は非常に広範です。

大規模な事業場では、保護具着用管理責任者が複数いないと、有効な保護具の選択、労働者の使用状況の管理その他保護具の管理に関わる業務を遂行することができないかもしれません。しかし、安全衛生推進者となる資格を有する者が存在する場合、その方に保護具着用管理責任者の業務を兼任してもらうことが可能です。

もちろん、大規模な事業所では、通常、衛生管理者が選任されているはずですが、安全衛生推進者となる資格を有する者が保護具着用管理責任者の業務をサポートしてくれることは利点の一つかもしれません。

「保護具の管理に関する教育」(保護具着用管理責任者教育)について

保護具着用管理責任者に対する教育の実施について

前述のように、資格要件①〜⑥の場合、『保護具の管理に関する教育』は努力義務とされています。
しかし、実務で保護具着用管理責任者を務める場合には、この教育は必須と考えてください。しっかりと学習する必要があります。

「保護具の管理に関する教育」については、通達があります。この通達の中で、「保護具の管理に関する教育」のことを「保護具着用管理責任者教育」と呼ぶことが書かれています。

教育は「保護具着用管理責任者教育カリキュラム」に沿って行われます。詳しい内容は、以下の指針を参照してください。6時間ですので、多くの講習機関でも1日で終わる講習のようです。

「保護具等や機器等に習熟する観点から、教育を修了した者は、保護具メーカーや測定機器メーカーが実施する研修や、これらメーカーの協力を得て行う教育・訓練等、実践的な教育・訓練等を定期的に受けることが望ましいこと」と記載があり、一度教育を受けた後も、勉強を怠らないようにしましょう。

「保護具着用管理責任者に対する教育の実施について」(基安化発1226第1号 令和4年12月26日 )


保護具着用管理責任者の人数について

 何人の保護具着用管理責任者を選任しなければならないのでしょうか?

保護具着用管理責任者については、現場で業務を遂行する必要があります。衛生管理者のように、事業所の人数に基づいて必要な人数が定められる規定は存在しません。

ただし、以下の通達によると、権限を行使する役職に就いている者が望ましいとされています。また、「事業場ごとに選任すること」と記載されており、最低一人の保護具着用管理責任者が必要となりますが、複数人を選任することも差し支えないようです。

具体的には、業務の実施において、事業所の規模や他の仕事との兼任・専任の有無、作業場の業務内容の違いなどによって、適切な人数を一概に決めることはできません。衛生委員会等で審議しましょう。

ただし、保護具着用管理責任者の具体的な役割には、保護具の着用の確認が必要な場合や吸収缶の管理が必要な場合などが含まれると思われます。同じ業務内容であれば、1人の保護具着用管理責任者が業務をまとめた方が効率的で漏れがないかもしれません。

(3)安衛則第12条の6第3項関係
保護具着用管理責任者の選任に当たっては、その業務をなし得る権限を付与する必要があり、事業場において相応するそれらの権限を有する役職に就いている者を選任することが望ましいこと。なお、選任に当たっては、事業場ごとに選任することが求められるが、大規模な事業場の場合、保護具着用管理責任者の職務が適切に実施できるよう、複数人を選任することも差し支えないことまた、職務の実施に支障がない範囲内で、作業主任者が保護具着用管理責任者を兼任しても差し支えないこと(9(4)に係る職務を除く。)。

労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について 基発0531第9号 令和4年5月31日

また、通達に明記されているように、作業主任者が保護具着用管理責任者を兼任することは問題ありません。特化物、有機溶剤、鉛はリスクアセスメント対象物でもあります。特化物や有機溶剤を取り扱う場合には、作業主任者の選任が必要ですが、同時に保護具着用管理責任者を兼任することも可能です。

特化物作業主任者、有機溶剤作業主任者、鉛作業主任者の業務内容には、「保護具の使用状況の監視」が含まれています。現在、保護具着用管理責任者が行うべき業務が作業主任者によって実質的に遂行されている場合もあるかと思いますが、そのまま継続して行うことも可能です。

保護具着用管理責任者の選任と周知について

保護具着用管理責任者が選任された後は、労働安全衛生規則の第12条の6の第4項により、保護具着用管理責任者の選任が行われたことを周知しなければなりません(条文の緑ハイライト)。
この点において、作業主任者と同様に、保護具着用管理責任者の選任後に周知が行われます。
具体的な周知方法については、以下の通達で規定されています。

(抜粋)
イ 保護具着用管理責任者の選任(安衛則第12条の6関係)
① 化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に保護具を使用させるときは、保護具着用管理責任者を選任し、有効な保護具の選択、保護具の保守管理その他保護具に係る業務を担当させなければならないこと。

② 保護具着用管理責任者の選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に行うこととし、保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから選任しなければならないこと。

③ 事業者は、保護具着用管理責任者を選任したときは、当該保護具着用管理責任者に対し、必要な権限を与えるとともに、当該保護具着用管理責任者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示すること等により関係労働者に周知させなければならないこと。

(抜粋)
(4)安衛則第12条の6第4項関係 本規定の「事業場の見やすい箇所に掲示すること等」の「等」には、保護具着用管理責任者に腕章を付けさせる、特別の帽子を着用させる、事業場内部のイントラネットワーク環境を通じて関係労働者に周知する方法等が含まれること。

労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について 基発0531第9号 令和4年5月31日

まとめると、関係労働者への周知方法は以下のとおりです。これらの方法のいずれかを用いて、保護具着用管理責任者について周知しましょう。

  • 保護具着用管理責任者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示する
  • 保護具着用管理責任者に腕章を付けさせる
  • 特別の帽子を着用させる
  • 事業場内部のイントラネットワーク環境を通じて関係労働者に周知する

 まとめ

保護具着用管理責任者の要件と選任について解説しました。
保護具着用管理責任者の要件は以下の(1)又は(2)になります。

(1)①~⑥の資格要件、に加え、保護具の管理に関する教育が努力義務
(2)(1)の要件の者を選任することができない場合は、「保護具の管理に関する教育」を受講した者

①~⑥の資格要件は、なかなかハードルが高いものもありますが、第1種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許が現実的ではないでしょうか。

盲点ではありますが、特化物作業主任者、有機溶剤作業主任者、鉛作業主任者、及び安全衛生推進者については、リスクアセスメント対象物でなくても保護具着用管理責任者となることができます。
この点、特化物、有機溶剤、鉛を使っていなくても、特化物作業主任者、有機溶剤作業主任者、鉛作業主任者は知識を活かして保護具着用管理責任者となることができることは知っておきましょう。
同様に、50人未満の事業場でなくても、安全衛生推進者は知識を活かして保護具着用管理責任者となることができます。

ただし、これらの場合は、「保護具の管理に関する教育」をしっかりと受講することをお勧めします。この講習は6時間の時間を要し、通常1日で終了するため、負担もそれほど大きくはないでしょう。

選任は保護具着用管理責任者を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任する必要があり。選任した場合には、周知を行いましょう。周知の方法についても解説いたしました。

保護具着用管理責任者の業務については、以下の記事もあります。


 

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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