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【資格・医師向け】銀行業務検定 年金アドバイザー2級の試験を受けてみて

いくつかの試験は二度と受けたくないと思うものがあります。私にとっては年金アドバイザー2級がそんな試験に該当します。年金アドバイザー2級は、銀行業務検定協会が実施する試験です。
今回は、粘菌アドバイザー2級と、この資格が産業医にどのように役に立つかを、この試験を受験した時のことを踏まえてお話ししましょう。

銀行業務検定 年金アドバイザー2級の試験を受けてみて

銀行業務検定 年金アドバイザー2級とは

年金アドバイザー2級試験の実施・運営団体である、(株)経済法令研究会の説明では以下にようになっています。
銀行には「年金専担者」という役職が存在するのでしょうか。
他に、年金アドバイザー3級もあるのですが、年金関連の資格試験では、年金アドバイザー2級が一番難しいと言われています。「実践的・専門的知識」ということで、いかにも年金の専門家が取得していそうな資格です。

年金専担者等を対象に、年金・公的保険に関する顧客相談や内部研修・指導に応じるための実践的・専門的知識について、その習得程度を測定します。
引用:(株)経済法令研究会

試験の内容は、年金全般ですが、具体的な年金の計算をしなければなりません。合格率は25%とそんなに低くないように見えますが、この試験を受験する方は、プロの方が多いので、プロの中の25%ということで結構難しい試験になります。

私は社会保険労務士の勉強をしていた時に試験を受けました。年金アドバイザー試験には3級もありますが、目に留まった2級の勉強を始めたので、いきなり2級の試験を受けました。

 産業医が年金アドバイザー2級を受検するメリットは

年金アドバイザーは年金額の計算ができるようになります。社労士試験では具体的な年金額の計算は含まれていません。また、この試験は記述式のため、実際の産業医訪問時に、紙と鉛筆、電卓を用いてざっくりとした年金額の計算が行えるようになります。

産業医にとっては、両立支援等において社会保障は重要な要素となりますが、その中の年金についてかなり詳しくなれるため、この年金アドバイザー2級はお勧めの資格となります。

具体的に産業医にとって役に立つ場面として、休職している従業員の傷病手当金の支給期限が経過する際に、社会保障の給付を障害厚生年金へ切り替えますが、その際に、一定の情報があれば年金額の計算をざっくり行うことができます。

その他、具体的には別記事で紹介していますが、障害の年金は給与との調整がありません。
例えば、病気によりフルタイムのままでは労務提供不能だが短時間勤務なら就業可能な従業員がいた場合、長引く休職から退職となってしまった従業員の雇用契約を、時短勤務として労働契約を存続し、その給与が減った分を障害厚生年金により填補することにより、当該従業員の生活を安定させるという方法も取ることができます。この時に、どのくらいの障害の年金がでるかわかるとよいですよね。

近年は障害者雇用の法定雇用率のこともあり、障害のある従業員の方の雇用契約を存続したいと希望される会社も多いです。短時間勤務と障害年金の組み合わせは、当該従業員の雇用の存続のためにも有益です。

ただし、年金の額については、最終的には年金事務所で要件や年金支給額について確認する必要がありますし、実際の現場では、計算結果はあくまで目安となります。

年金アドバイザー2級は銀行業界で広く知られており、年金に関する深い知識を持っていることを証明するものです。
ただし、やはりマニアックな資格であり、知る人ぞ知る存在と言えます。

 難しさの所感と電卓の扱いについて

正直に言うと、この試験はかなり難しいです。記述式なので、きちんと最後まで答えを導き出し、書き出さなければなりません。私としては、この試験は二度と受けたくないと思いました。

なぜそう思ったのかというと、試験が始まってからわずか30秒ほど経った時点で、「間違った場所に来てしまったのではないか、なぜ私はこの試験を受けることになったのだろう」と感じたからです。
それは・・・・

試験開始の合図とともに、皆が奏でる音楽のような響きが広がります。
美しく電卓をたたく音の響きは、リズミカルです。
私の10倍以上のスピードで、皆、電卓をたたいているのです。彼らはまさにプロです。

当時、電卓の操作に慣れていなかった私は、同じ計算を3回行っても結果が毎回異なっていました。指一本ずつしか電卓のキーを押せない状況でした。

絶望的な気持ちになりましたが、スピードを上げて電卓をたたき、同じ計算を何度も繰り返し、2回連続で同じ結果が出た場合にそれを採用するという戦略で解答を記入しました。

また、すべて記述式試験ということも難しいです。最後まで解答に至らなければなりません。過去問の攻略がカギとなります。

何とか合格することができましたが、この試験は二度と受けたくないものですね。

年金アドバイザーに受かりたい方へ

金融・会計・経理などの電卓を日常から業務に利用されている職種の方は問題ありませんが、電卓に慣れていない方は年金アドバイザーの勉強を行う前に、愛用の電卓を準備しましょう。電卓のスピード、正確さは必須となり、同じ電卓をずっと使うということは非常に重要です。できれば、お仕事でも同じ電卓を使用できるとよいかと思います。年金アドバイザーのためだけに電卓のトレーニングを行うのも非生産的なので、電卓のトレーニングを兼ねて、簿記を勉強するのはお勧めです。

ちなみに、私が愛用しているのはこの電卓です。
ただし、作業環境測定士の試験では関数電卓が必要ですが、この電卓には関数機能は備わっていないため、ご注意ください。

引用:SHARP 実務電卓(ナイスサイズタイプ) EL-N942-X

この試験の勉強方法として、過去問にきちんと取り組むことが重要です。過去問には必ず手を動かして解答を最後まで解答を書けるようにすることがポイントです。過去問は最低でも3回は解くようにしましょう。

そして、各種資格予備校が年金アドバイザー2級の対策講座を解説しています。できれば対策講座を受けておいた方がよいでしょう。

まとめ

年金アドバイザーは銀行業務検定であり、受験される方は金融業界の方が多いと思われます。
試験は記述式なので、解答を最後まできちんと紙に書けることが重要です。正確な知識の理解がなければなりません。
電卓での計算がかなり必要となる試験であり、電卓に慣れていない職種の受験者は、まずは電卓に慣れるようにしましょう。簿記の勉強は電卓に慣れるために有効です。

産業医にとっては、両立支援等において社会保障は重要な要素となりますが、その中の年金についてかなり詳しくなれるため、この年金アドバイザー2級はお勧めの資格となります。

過去問をしっかり行うことが対策として重要ですが、きちんと、自分の手を動かして、解答を紙に書けるようになるところまでしっかり勉強しましょう。

各種資格予備校が対策講座を行っていますので、これらを受講するのもよいでしょう。

この試験は二度と受けたくない試験です。



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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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