事務所LAO – 行政書士・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント・海事代理士

【まとめ】人事労務系担当者、産業医のための治療(障害)と仕事の両立支援の解説

両立支援は、今後の事業所において重要な項目となります。両立支援については「治療と仕事」に関するガイドラインが存在しますが、現在、治療の必要なく、障害を抱えた人々に対する両立支援も必要です。さらに、障害者雇用促進法によって、障害者の法定雇用率以上の雇用が義務付けられており、法定雇用率が上昇する可能性があることからも、障害と仕事の両立支援は重要な課題となっています。
このブログでは、治療または障害と仕事の両立支援のことをまとめて「両立支援」と呼びます。
今回は、この両立支援についてまとめます。

人事労務系担当者、産業医のための両立支援の基本的な知識について

 厚生労働省による「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」について

「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」が厚生労働省から公表されています。
このガイドラインの中で制度作りや、両立支援コーディネーターについて解説されています。
両立支援に携わる職種の方は必ずこのガイドラインを確認し、熟読しておきましょう。

両立支援において障害の定義の理解は必須です

病気による仕事の困難さや障害による仕事の困難さの場合、どちらも生活機能に影響を及ぼします。この状況を理解するためには、障害の定義であるICF(国際生活機能分類)の理解が必要です。

さらに、両立支援においては、ICFにおける環境因子と個人因子へのアプローチ方法を考えることが重要です。これらの視点を持つこと、も必須です。

 ある日、病気や障害になってしまったときの支援について

 病気に罹った場合や障害を負った場合に、ライフプラン・キャリアプランも考慮しましょう

病気や障害は、当然ですがさまざまな種類があります。それにはゆっくりと進行する病気や、突然発症して障害を残す場合もあります。
このような状況に直面した場合、従業員は戸惑い、不安を抱えておられるでしょう。

将来についてどう進めていけば良いのかわからないかもしれません。治療や障害の程度だけでなく、当該従業員のライフプランやキャリアプランも重要です。私は、このような視点を対応するために、キャリアコンサルタントが対応するのが良いと考えています。


 病気や障害について、産業医が診療情報提供依頼書を発行するのは有効です

「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に、主治医へ情報提供を求めるひな形がありますが、産業医等が、主治医に診療情報提供依頼を行い、病状や障害の特性を把握することもできます。
診療情報提供依頼書については、きちんと労働法を理解して発行することが重要です。

しかし、診療情報提供依頼書の対応を従業員に義務付けるためには、就業規則等への定めが必要になります。両立支援の規定も含めて、診療情報提供依頼について規程を設けるのが良いでしょう。この就業規則の変更については社会保険労務士に相談しましょう。

両立支援における社会保障について

両立支援において、病気で欠勤したり、しばらく休職したりといったことはよくあります。このような場合に、社会保障を扱えるようになりましょう。私傷病を前提として、社会保障については、傷病手当金、障害厚生年金等があります。現在の産業保健においては、このようなライフ・マネープランは重視されていないようですが、重要な要素になります。





 専門職の関わり

両立支援においては、さまざまな職種の方が関わります。医療職以外の方がどのような役割を担うのかは知っておきましょう。それにより、うまく連携できると思います。

私見ですが、産業医とキャリアコンサルタントは、両立支援において相性がいいと思います。



 両立支援における重要な理論

バルテスの「補償を伴う選択的最適化の理論」は、個人が年齢とともに有する能力が減少する中で、適応力を保ち、目標を達成するために、選択、最適化、補償の戦略を行うという理論です。この理論は両立支援に関わる職種の方は、知っておきましょう。

従業員が病気や障害で、今までできたことができなくなることは、誰にも起こり得ます。そのような労働者にこのバルテスの補償を伴う選択的最適化の理論を用いて、適応を模索することは今後重要となっていくでしょう。


まとめ

両立支援に関する情報を、これまでの記事からまとめました。
両立支援については、「治療と仕事の両立支援」がガイドラインとして公表されていますが、障害と治療の両立支援も重要なテーマです。
障害の定義を理解することは、両立支援において必要不可欠です。

病気や障害になった場合の支援について考える際には、ライフプランやキャリアプランも考慮するようにしましょう。
産業医が主治医に対して診療情報提供依頼書を発行することは有効です。
両立支援における社会保障、つまり傷病手当金や障害年金についても適切なアドバイスができると良いでしょう。
このような両立支援を実施するためには、専門職同士が連携する必要があります。連携するためには、それぞれの専門職の役割と責任を互いが理解し合うことが必要です。

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、産業医・顧問医の受託をお受けしております。労務管理と一体になった産業保健業務を多職種連携で行います。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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