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【産業医・医師向け】キャリアコンサルタントの資格の種類と概略について簡単に説明

産業医や医師の中には、キャリアコンサルタント(キャリアカウンセリング)に興味を持たれる方もいるかもしれません。
私自身、産業保健の現場でいわゆる「カウンセリング」を行うのであれば、キャリアコンサルタントの視点を取り入れるべきだと考えています。

そこで、産業医としてキャリアコンサルタントの資格取得を検討して、ネットで調べてみると、キャリアコンサルタントには複数の種類があることがわかるでしょう。
この資格について、医師の方にはあまりなじみがないかもしれませんので、非常に簡単に説明します。

キャリアコンサルタントの資格は、主に3種類あります。
詳細な受験情報については、キャリアコンサルタント専門のサイトに優れた情報が多数ありますので、そちらをご参照ください。
また、学科試験の内容についてもここでは割愛します。


キャリアコンサルタントの資格の属性について

キャリアコンサルタントの資格は、大きく分けて「国家資格」と「技能士」の2つに分類されます。

国家資格は「キャリアコンサルタント」という名称の国家資格です。技能士は「キャリアコンサルティング技能士」という名称で、技能検定制度に基づく資格です。
ここで技能検定制度ですが、特定の分野における技能の習得レベルを評価する国家検定制度です。
キャリアコンサルタント分野だけでなく、ファイナンシャルプランニング技能士、金属プレス加工、電気機器組立てなど、多岐にわたる職種で実施されています。

技能検定とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど全部で131職種(※)の試験があります。試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。

引用:厚生労働省ホームページ 技能検定制度について

まとめますと、キャリアコンサルタントの資格の種類としては、以下のような分類になります。

国家資格
①国家資格キャリアコンサルタント

技能検定
②2級キャリアコンサルティング技能士
③1級キャリアコンサルティング技能士

キャリアコンサルタント資格の難易度と産業保健における位置づけですが難易度の観点から見ると、キャリアコンサルタントの資格は次の順でレベルが上がります。

国家資格キャリアコンサルタント(基本レベル)
2級キャリアコンサルティング技能士(実務者レベル)
1級キャリアコンサルティング技能士(指導者レベル)

産業保健の視点から見たキャリアコンサルタントの種類としては、1級キャリアコンサルティング技能士は、主にスーパーバイザー(指導者)としての役割を担う資格と考えてよいでしょう。
実際に、**国家検定「キャリアコンサルティング技能検定」の公式HPにも、以下のように規定されています。

「2級キャリアコンサルティング技能士」に求められるレベル
個人の相談に対して相談者との関係構築のもとに問題・課題などを見立てることができ、1対1の相談支援が的確にできるレベルです。

「1級キャリアコンサルティング技能士」に求められるレベル
個人の相談支援を2級より高い水準で的確に行うキャリアコンサルティング能力を有し、組織への働きかけや関係者との連携などのコーディネート能力が求められ、キャリアコンサルタントからの相談に対して不安を解消し、気づき、成長を促すような指導・アドバイスができるレベルです。

国家検定 キャリアコンサルティング技能検定

したがって、産業保健で従業員に、いわゆるカウンセリングを行うためには、国家資格キャリアコンサルタントか、2級キャリアコンサルティング技能士があれば十分だと考えます。

国家資格キャリアコンサルタントは2級キャリアコンサルティング技能士の下位資格になるのですが、下位と言っても、国家資格キャリコンでも勉強時間も長く、実技も必要なのでかなり大変ですよ。

 それぞれの資格の違いを解説

この資格の中で、国家資格キャリアコンサルタントが基本となりますね。通称、「国キャリ」(くにきゃり)と呼ばれています。国家資格キャリアコンサルタントを持っていないと、キャリアコンサルタントと名乗ることはできません。

1級と2級の違いについては、キャリアコンサルティング協議会が以下のように説明しています。

「2級キャリアコンサルティング技能士」に求められるレベル
個人の相談に対して相談者との関係構築のもとに問題・課題などを見立てることができ、1対1の相談支援が的確にできるレベルです。

「1級キャリアコンサルティング技能士」に求められるレベル
個人の相談支援を2級より高い水準で的確に行うキャリアコンサルティング能力を有し、組織への働きかけや関係者との連携などのコーディネート能力が求められ、キャリアコンサルタントからの相談に対して不安を解消し、気づき、成長を促すような指導・アドバイスができるレベルです。

キャリアコンサルティング協議会

①国家資格キャリアコンサルタント

国家資格キャリアコンサルタントは、文字通り国家資格です。通常、キャリアコンサルタント養成講座を受講し、その後に国家試験を受けて国家資格キャリアコンサルタントとなります。このキャリアコンサルタント養成講座の時間数は非常に長いものです。初めて参加する方にとっては、ロールプレイなど初めて経験することも多いかもしれません。しかし、この養成講座では傾聴のトレーニングやキャリア理論の学習が行われるため、人事労務担当者の方には非常におすすめです。

国家資格キャリアコンサルタントの実技試験は、クライアント役の方とのロールプレイが行われます。一定程度の傾聴ができれば合格とされています。

産業医が国家資格キャリアコンサルタントを取得することをおすすめします。一般的に医師は傾聴のトレーニングを受ける機会がありません。また、産業医がキャリアコンサルタントと協力して仕事をする際には、キャリアコンサルタントの仕事について理解が深まっており、連携しやすいという利点もあります。

更新制で、5年に1度の更新があり、そのために更新講習を受けておく必要があります。

②2級キャリアコンサルティング技能士

実技試験では、国家資格キャリコンと同様にクライエント役の方とのロールプレイが行われますが、試験時間は20分であり、国家資格キャリアコンサルタントの試験より5分延長されています。この5分の差が大きいのです。

私自身、大学教員の経験から言えば、試験において実技を適切に評価し、基準を設けることは素晴らしいことだと思います。この試験システムを作った方は本当に素晴らしいと思います。
実技試験では、システマチックアプローチという手法に基づいて、主訴の把握、目標の設定、方策の策定まで行う必要があります。最近では、どのように採点されるかわかってきたと言われています。

2級キャリコンの受験対策で出会った方々のお話では、ハローワークや、職業紹介機関では、2級の取得を求められるということです。
産業医を目指す場合は、可能であれば2級まで取得しておくことをおすすめします。クライエント企業の中にも2級を保有している方々がいるため、キャリコン系の話題について話せると幅が広がるでしょう。

特に、大企業では、HRM(Human Resource Management、人的資源管理、人材マネジメント)を戦略的に構築している場合があり、HR関連の知識を有していることはメリットとなります。

③1級キャリアコンサルティング技能士

ここでは国家資格キャリアコンサルタントや2級技能士とは異なり、キャリアコンサルタントの事例指導が試験内容になります。それにより、試験で面談するロールプレイの相手役は、過去の面談がうまくいかなかったキャリアコンサルタント、事例相談者となっています。

試験時間は30分ですが、達成しなければならないタスクは非常に多いです。
申し訳ありませんが、私もまだこの世界について詳しくは知りません。

産業保健の現場では、キャリアコンサルタントに事例指導する必要性が低いので、産業医は1級キャリアコンサルティング技能士はでは必要ないかと思われます。

ただ、1級キャリアコンサルティング技能士は、2級キャリアコンサルティング技能士より高い、カウンセリング技能が必要だと言われていますので、2級の方よりカウンセリング能力が高い方が多いのではないでしょうか。

 まとめ

キャリアコンサルタントの資格の種類を簡単にまとめます。
まずは国家資格キャリアコンサルタントを取得し、その後に2級、1級とステップアップしていくことになるでしょう。

キャリアコンサルティングで必要な傾聴スキルは非常に有用です。
産業医(医師)の場合、できれば2級キャリアコンサルティング技能士の資格を持っておくことをおすすめします。


労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、メンタルヘルスに関する、コンサルティング業務を行っております。

メンタルヘルス不調に関する難しい案件にも対応いたします。社労士ですので、就業規則や社会保障も含めた労務管理を考慮した対応を行い、また、主治医との診療情報提供依頼書のやり取りを通じて、従業員の復職支援、両立支援を行うことを得意としています。

行政書士事務所として、休職発令の書面や、休職期間満了通知書、お知らせ等の書面の作成も行います。

メンタルヘルスに関する、コンサルティング業務は、原則として、顧問医・産業医としての契約になります。
オンラインツールを用いて、日本全国の対応が可能ですのでメンタルヘルス不調でお困りの方はぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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