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【資格】ファイナンシャルプランナー (FP)資格を医師が取得するメリットについて解説

ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)という資格をご存じでしょうか?
おそらく、多くの方が一度は耳にしたことがあるかと思います。
FPは、人生のさまざまなお金に関する課題、たとえば、住宅購入、教育資金、老後資金、保険や税金、相続などに関して、総合的なアドバイスを行う専門家です。

私自身、CFP(Certified Financial Planner)、FP1級(日本FP協会認定)およびFP1級(きんざい実施)の資格を取得しています。
現在は、日々の実務や相談業務の中で、この知識を活かしています。

FPに関する情報は、インターネット上にも多く出回っていますが、今回はあえて「個人的な実感」や「現場で感じること」に重きを置いてお話したいと思います。
教科書的な内容というよりも、実際にFPとして活動する中で見えてきた視点を共有できれば幸いです。

ファイナンシャルプランナー (FP)資格とは

ファイナンシャルプランナー (FP)受験の動機について

まず、私がFPの勉強を始めた理由は、大きく分けて2つあります。

1つ目は、キャリアコンサルタントの勉強中にFPの資格は取っておいたほうがよい旨の記載がテキストに記載があったことです。
キャリアに関する支援を行う上で、お金に関する知識や視点が必要になる場面は少なくありません。
そのため、キャリアコンサルタントとしての専門性を広げるうえで、FPの知識が有益だと感じました。

2つ目は、クライエントが大きな病気や障害を抱えたり、長期休職を余儀なくされたとき、その出来事を転機としてライフプランやマネープランの見直しが必要になることがあるからです。こうした場面での資金計画や制度の理解は、FPの得意分野です。

 

もっとも、実際に産業医として活動していると、「マネープランを見直しませんか?」と直接従業員に提案するのは、やや場違いに感じられることもあるのが現実です。マネーの話は、産業医の立場だけでは対応しづらい部分でもあります。

しかし、そこでFPの存在を理解しておけば、専門家へのリファー(紹介)という選択肢を自然に取ることができます。
産業医や事業者がクライエントの全体像を把握しながら、必要な場面でFPと連携できるようになると、より実効性のある支援が可能になると感じています。

そして、実はもう一つ、3つ目の理由があります。
それは、勉強するうちに「これは、自分自身の人生にも非常に役に立つ」と気づいたことです。
資産運用、税制、保険、年金など、どれも人生と切り離せないテーマであり、「まずは自分のために学ぶ価値がある」と思えたことが、継続して取り組めた大きな動機になりました。

ファイナンシャルプランナー (FP)の資格の種類

ファイナンシャルプランナー(以下、FP)という資格は聞いたことがあるが、お金にまつわる資格のようだが内容はよくわからないという方は多いかと思います。FPは、正式名称をファイナンシャル・プランニング技能検定といい、技能検定なので試験があります。金融資産運用、不動産、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、タックスプランニング、相続・事業承継の6科目について問われます。

FPの資格は少し複雑で、「ファイナンシャル・プランニング技能検定」の1級から3級と、CFP、AFPという、民間の日本FP協会が認定する資格があります。以下のHPが、理解するためによいでしょう。このブログでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定」の1級から3級をFP1級、FP2級、FP3級と呼ぶこととします。

FPの資格と検定の種類
日本FP協会の資格(CFP®・AFP)とFP技能士の関係
FPとしての力量を測ったり、FPとしての実績や信頼を示すものとして、一般的に普及している資格や検定には、NPO法人 日本FP協会が認定する「CFP®資格」(上級資格)および「AFP資格」と、国家検定であるFP技能士(1~3級)があります。

日本FP協会では、AFP資格の認定要件としてAFP認定研修の修了と2級FP技能検定の合格を必須としています。

日本FP協会ホームページ

非常に簡単に言えば、FP3級はファイナンシャル・プランナー資格の中で最も初歩的なレベルに位置づけられます。
基礎的な知識を身につけたい一般の方や、これからFPとしての活動を始めたい人に向けた入門資格です。

その次のレベルが、FP2級とAFP(Affiliated Financial Planner)です。
この2つはほぼ同等レベルの資格とされており、FPとして実務的な基礎力を備えているかどうかを問う内容となっています。
なお、AFPは日本FP協会が認定する民間資格であり、FP2級とほぼ同時に取得できるケースもあります。

そして、FP資格の最上位とされるのが、FP1級およびCFP(Certified Financial Planner)です。
この2つの難易度については同程度とする見解もありますが、人によって意見が分かれる部分でもあります。
内容の深さや出題傾向、学習スタイルの違いなどが、難易度の体感に影響を与えているのかもしれません。

またややこしい点として、FP1級には2種類(日本FP協会ルートときんざいルート)が存在します。
ただし、いずれも国家資格であり、実務上の評価や資格の価値に大きな差はないと考えてよいでしょう。

今回はこの中でも、FP2級、AFP、CFP、FP1級の各資格の特徴と違いについて、少し詳しく解説していきます。

FP2級、AFP、CFPとFP1級

まず、FP2級についてですが、勉強する価値があります。ただし、FP2級を取得しただけでは転職などに直接的な利点があるかどうかは難しいと思います。しかし、FP2級の内容は非常にバランスが取れており、社会人として基本的に知っておくべき内容だと思います。

そのため、私は、FP2級に合格した後にCFPを取得しようと思いました。

CFPはAFPという上級資格です。CFPとAFPの関係については、インターネット上にたくさんの情報があると思いますので、そちらをご覧ください。

2つのファイナンシャル・プランニング 技能検定 1級(FP1級)資格

FP1級の正式名称は「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」となります。この資格は厚生労働省の技能検定という位置づけです。さらに、FP1級には2つの種類があります。「資産設計提案業務」と「資産相談業務」ですが、これらは異なる運営主体によって運営されています。

一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)は「資産相談業務」を、NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)は「資産設計提案業務」となります。

参考
一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級
https://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/1kyu/index.html

日本FP協会 FP技能検定
https://www.jafp.or.jp/exam/

FP1級は厚生労働省が認定する技能検定であり、試験に合格した後は更新の必要はありません。そして、二種類あるFP1級はどちらも「FP1級」の資格ですので、受験者の多くはどちらか一方の試験を受けます。私は両方の試験を受けました。

なぜ両方の試験を受けたのかというと、最初にFP協会の「資産設計提案業務」に合格した後、ある元銀行関係の方から「FP1級の評価では面接のあるきんざい(の資産相談業務)が重視される」という話を聞きました。そのため、資産相談業務の試験も受けることにしました。しかし、後に金融業界の他の方々に尋ねても、そんな評価の差はないとのことでした。結局、FP1級の評価はどちらの種類も同じようです。

 資産設計提案業務と資産相談業務のFP1級試験の違いをわかりやすく解説

FP1級に関しては、「資産設計提案業務」と「資産相談業務」がありますが、この二つの試験に関しては、他のサイトが詳しくていいかと思いますがざっくり解説します。

①資産設計提案業務

FP協会が主催するFP試験は、実技試験ですが、ペーパーテスト形式です。
合格率は70-90%台程度なので過去問をしっかりやっていれば受かると思います。

過去問は定番の学習方法ですので、それを活用しましょう。過去問は3回解くことをおすすめします。
1級FP技能検定 実技試験(資産設計提案業務)精選過去問題集
FPK研修センター株式会社

②資産相談業務

一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)が主催する試験です。この試験は口述試験です。

まず、最初に問題を読んで分析します。その後、試験官からの質問に答えていきます。
ありがちですが、受験時に、なぜ自分がここに来てしまったのかと後悔しました。
かなり難しい質問だったと思います。

「不動産の売却を提案いたします。」とか言ったような気がします。
はい、完全に不合格だと思いましたが、なんとか受かっていました。

問題集は、定番のこちらでしょう。
FP技能検定1級実技(資産相談業務)対策問題集
きんざいファイナンシャル・プランナーズ・センター

ファイナンシャルプランナー (FP)資格の医師の取得メリットについて解説

医師のFP資格の取得のメリット

医師のFP資格の取得のメリットですが、特に医師は税金、金融の知識を学ぶ機会が乏しい場合が多いので役に立ちます。以下のような面でメリットがあります。

マネーライフプランについて自分で考えることができる
税金がどのように計算されるのか理解できる
事業承継についてもわかる
自分の保険について理解できる
金融商品について理解できる
不動産についての知識がつく
保険や金融の専門家の人とプロとしてのつながりができる。

その他にも多数あります。これらは、知らないのと知っているのでは大違いです。

 

まとめ

本記事では、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格体系から、各資格の特徴、役立て方について、私の主観を交えて解説しました。

FP資格は、単にお金の知識を学ぶためのツールにとどまりません。キャリアコンサルタントや産業医としての活動を通じて、クライエントのライフイベントや経済的課題に寄り添ううえでも、非常に実用性の高い資格であると実感しています。
さらに、FPの知識は「自分自身の人生を設計する力」にもなります。資産形成、保険、税金、相続、不動産など、私たちの生活と密接に関わるテーマを体系的に理解できる点は、何よりのメリットです。

また、資格制度はやや複雑ですが、FP3級・2級(AFP)・1級・CFPとステップアップしながら、自分の目的や職業に応じて選択できる柔軟性があります。FP1級には「資産設計提案業務」と「資産相談業務」の2種類がありますが、どちらも国家資格であり、実務上の評価に大きな差はないと考えてよいでしょう。

医師や専門職の方にとっても、FP資格はマネーリテラシーを高め、将来の選択肢を広げる強力なツールとなります。

FPの学びは、クライエントのためにも、組織のためにも、そして何より自分自身のために役立つ知識です。
学びのきっかけとして、またキャリアの可能性を広げる一歩として、ぜひFP資格の取得を検討してみてください。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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