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化学物質の管理を解説

2023/04/20 2023/04/20

【安全衛生】タンク内で有機溶剤を使用する場合は、有機則26条の措置が必要です

有機溶剤をタンク内で使用する場合には、特別な規定が存在します。それが有機溶剤中毒予防規則の第26条です。今回は、この規定について説明します。

タンク内で有機溶剤を使用する場合は、有機溶剤中毒予防規則26条の措置が必要です

 「タンク内」と「タンク等の内部」は範囲が全然違うので注意しましょう。

まず、注意していただきたいことがあります。
それは、有機溶剤中毒予防規則の中で、「タンク内」と「タンク等の内部」は異なる概念であることです。

「タンク内」は、今回の有機溶剤中毒予防規則第26条の対象です。
「タンク等の内部」は、第三種有機溶剤を取り扱う場合の措置に関する規定です。

これらの内容は異なるものであり、別々の概念ですので、注意が必要です。

有機溶剤中毒予防規則26条の措置

有機溶剤中毒予防規則26条において、タンク内作業で行うべき措置について記載されています。

有機溶剤中毒予防規則(タンク内作業)
第二十六条 事業者は、タンクの内部において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
一 作業開始前、タンクのマンホールその他有機溶剤等が流入するおそれのない開口部を全て開放すること。
二 当該有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせる場合(労働者が当該有機溶剤業務に従事するときを除く。)は、当該請負人の作業開始前、タンクのマンホールその他有機溶剤等が流入するおそれのない開口部を全て開放すること等について配慮すること。
三 労働者の身体が有機溶剤等により著しく汚染されたとき、及び作業が終了したときは、直ちに労働者に身体を洗浄させ、汚染を除去させること。
四 当該有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、身体が有機溶剤等により著しく汚染されたとき、及び作業が終了したときは、直ちに身体を洗浄し、汚染を除去する必要がある旨を周知させること。
五 事故が発生したときにタンクの内部の労働者を直ちに退避させることができる設備又は器具等を整備しておくこと。
六 有機溶剤等を入れたことのあるタンクについては、作業開始前に、次の措置を講ずること。
 イ 有機溶剤等をタンクから排出し、かつ、タンクに接続する全ての配管から有機溶剤等がタンクの内部へ流入しないようにすること。
 ロ 水又は水蒸気等を用いてタンクの内壁を洗浄し、かつ、洗浄に用いた水又は水蒸気等をタンクから排出すること。
 ハ タンクの容積の三倍以上の量の空気を送気し、若しくは排気するか、又はタンクに水を満たした後、その水をタンクから排出すること。
七 当該有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせる場合(労働者が当該有機溶剤業務に従事するときを除く。)は、有機溶剤等を入れたことのあるタンクについては、当該請負人の作業開始前に、前号イからハまでに掲げる措置を講ずること等について配慮すること。

e-Gov 有機溶剤中毒予防規則

こちらの内容は、有機溶剤作業主任者が行うべき業務内容にも含まれています。

(有機溶剤作業主任者の職務)
第十九条の二 事業者は、有機溶剤作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
一 作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
二 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
三 保護具の使用状況を監視すること。
四 タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第二十六条各号(第二号、第四号及び第七号を除く。)に定める措置が講じられていることを確認すること。

e-Gov 有機溶剤中毒予防規則




では、有機溶剤中毒予防規則26条の措置を具体的に見ましょう。

有機溶剤中毒予防規則26条の措置
  1. 作業開始前、タンクのマンホールその他有機溶剤等が流入するおそれのない開口部を全て開放すること。
    →有機溶剤は換気が重要です。
  2. 当該有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせる場合(労働者が当該有機溶剤業務に従事するときを除く。)は、当該請負人の作業開始前、タンクのマンホールその他有機溶剤等が流入するおそれのない開口部を全て開放すること等について配慮すること。

    →①の規定を請負人に請け負わせる場合の配慮規定です。
  3. 労働者の身体が有機溶剤等により著しく汚染されたとき、及び作業が終了したときは、直ちに労働者に身体を洗浄させ、汚染を除去させること。

    →緊急時の対応ですね。SDSの内容「4.応急措置」もみて対応しましょう。
  4. 当該有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、身体が有機溶剤等により著しく汚染されたとき、及び作業が終了したときは、直ちに身体を洗浄し、汚染を除去する必要がある旨を周知させること。
    →請負に関する③の規定の周知になります。

  5. 事故が発生したときにタンクの内部の労働者を直ちに退避させることができる設備又は器具等を整備しておくこと。
    →備えあれば憂いなし。準備しておきましょう。
  6. 有機溶剤等を入れたことのあるタンクについては、作業開始前に、次の措置を講ずること。
     イ 有機溶剤等をタンクから排出し、かつ、タンクに接続する全ての配管から有機溶剤等がタンクの内部へ流入しないようにすること。
     ロ 水又は水蒸気等を用いてタンクの内壁を洗浄し、かつ、洗浄に用いた水又は水蒸気等をタンクから排出すること。
     ハ タンクの容積の三倍以上の量の空気を送気し、若しくは排気するか、又はタンクに水を満たした後、その水をタンクから排出すること。
    →有機溶剤を入れたことのあるタンクについて、作業前に行わなければならないことが列挙されています。
  7. 当該有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせる場合(労働者が当該有機溶剤業務に従事するときを除く。)は、有機溶剤等を入れたことのあるタンクについては、当該請負人の作業開始前に、前号イからハまでに掲げる措置を講ずること等について配慮すること。
    →請負人に請け負わせる場合の⑥の規定の配慮規定です。

このように、タンク内において有機溶剤業務を行う際には独特な規定があります。この第二十六条各号(第二号、第四号及び第七号を除く。)に定める措置が講じられていることを確認するのは、有機溶剤作業主任者の業務です。

また、特化則作業主任者においても、「タンクの内部において特別有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第三十八条の八において準用する有機則第二十六条各号(第二号、第四号及び第七号を除く。)に定める措置が講じられていることを確認すること。」との規定があり、特別有機溶剤業務に就いては、このタンクでの対応が必要になります。

(特定化学物質作業主任者の職務)
第二十八条 事業者は、特定化学物質作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
一 作業に従事する労働者が特定化学物質により汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
二 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
三 保護具の使用状況を監視すること。
四 タンクの内部において特別有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第三十八条の八において準用する有機則第二十六条各号(第二号、第四号及び第七号を除く。)に定める措置が講じられていることを確認すること。

e-Gov 特定化学物質障害予防規則

まとめ

有機溶剤をタンク内で使用する場合には特殊な規定があります。
それが有機溶剤中毒予防規則26条です。
有機溶剤中毒予防規則において、タンク内作業で行うべき措置について記載されています。
「タンク内」と「タンク等の内部」は範囲が全然違うので注意しましょう。
有機溶剤中毒予防規則26条で行うべき内容を記載いたしました。
有機溶剤作業主任者はタンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、これらの措置が講じられていることを確認しなければいけませんので注意しましょう。

 

 

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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