事務所LAO – 行政書士・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント・海事代理士

【人事労務担当者向け】マズローの欲求5段階説と労務管理上の応用について

社長や上司が、会社の集まりで「みんな、上を目指して頑張れ、マズローの五段階欲求説も上位の自己実現を目指すように言っている」と言うのはよくある状況です。

マズローの欲求5段階説はよく、間違われて使われています。
職場復帰支援や治療(障害)と仕事の両立支援にも応用できます。
今回は、マズローの欲求5段階説と労務管理・産業保健の関わりについて解説します。

マズローの欲求5段階説と労務管理・産業保健への応用について

マズローの欲求5段階説とは

マズローの欲求5段階説は有名な理論です。
この理論によれば、人間の欲求は階層的な構造を持ち、下位の欲求が満たされることで上位の欲求が生じるとされています。
下位の欲求より挙げていきます。

  • 生理的欲求(Physiological Needs)
    生理的欲求は、人間の生存に直結する基本的な欲求ですであり、食物、水、睡眠などが含まれます。これらの欲求が満たされないと、他の欲求を追求することは困難です。

  • 安全への欲求(Safety Needs)
    安全欲求は、身体的な安全や物理的な安定性を求める欲求です。具体的には、安全な居住環境、安定した雇用、健康な状態などが含まれます。

  • 社会的欲求(Social Belongingness and Love)
    社会的所属と愛の欲求は、他者との関係形成や愛情、友情、所属意識を求める欲求です。人間は他者との絆を築き、社会的なつながりを持つことで満たされる欲求があります。

  • 承認欲求(Esteem)
    承認欲求は、他者からの評価や自己評価、自尊心、成果や成功への欲求などを指します。
    地位や名声を求め、他人から尊敬されたい、または自尊心を満たしたい願望から承認欲求が生じます。

  • 自己実現の欲求(Self-Actualization)
    自己実現の欲求は、個々の才能や能力の最大限の発揮、自己成長、個人の可能性の追求を指します。
    この欲求は、個人が自身の真の目的や情熱に向かって進化し、個体としての最高の状態を追求することを意味します。

以下のようなピラミッド構造で図示されます。


労務管理において重要な点

人間の欲求は階層的な構造を持ち、下位の欲求が満たされることで上位の欲求が生じるということでしたよね。
冒頭で述べたように、上司が「みんな、上を目指して頑張れ」という状況はいかがでしょうか。
もし、残業が多い、休憩が取れない、ノルマが非常に多い、すぐにクビだといわれる等があれば、安全への欲求が満たされないかもしれません。
冒頭で述べたように、「上を目指して頑張れ」と言っても、基本的な労働条件が守れていなければマズローの欲求5段階説からは困難であると言えます。

職場復帰支援・両立支援において

何らかの病気に罹患したのち、復職する際の職場復帰支援においてもマズローの五段階欲求説は適用されます。
例えば、脳梗塞で重い後遺症があり、仕事が続けられるか微妙な状態の方が復職を希望された場合はいかがでしょうか。
働き続けられない可能性がある場合、安全への欲求が満たされないかもしれません。
そのような状態で、「みんな、上を目指して頑張れ」と言って、上位の欲求を満たすように促しても厳しいですよね。
まずは、しっかり最低限のお仕事ができて、働き続けられるという状態へ職場復帰支援を行い、安全への欲求を満たしましょう。

両立支援においても同様です。
病気でお仕事ができなくなるのでは?という不安からくる安全への欲求を満たすように支援しましょう。

 まとめ

マズローの欲求5段階説はよく、間違われて使われていますので、今回、解説しました。
この理論によれば、人間の欲求は階層的な構造を持ち、下位の欲求が満たされることで上位の欲求が生じるとされています。

冒頭で述べたように、「上を目指して頑張れ」と言っても、基本的な労働条件が守れていなければマズローの欲求5段階説からは困難であると言えます。
会社が下位の要求を満たせないのに、上を目指せと鼓舞することはやめましょう。

職場復帰支援や治療(障害)と仕事の両立支援においてにおいても同様の問題が生じます。
マズローの欲求5段階説は著名で、非常に使いやすい理論ですので知っておきましょう。

 

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、メンタルヘルスに関する、コンサルティング業務を行っております。

メンタルヘルス不調に関する難しい案件にも対応いたします。社労士ですので、就業規則や社会保障も含めた労務管理を考慮した対応を行い、また、主治医との診療情報提供依頼書のやり取りを通じて、従業員の復職支援、両立支援を行うことを得意としています。

行政書士事務所として、休職発令の書面や、休職期間満了通知書、お知らせ等の書面の作成も行います。

メンタルヘルスに関する、コンサルティング業務は、原則として、顧問医・産業医としての契約になります。
オンラインツールを用いて、日本全国の対応が可能ですのでメンタルヘルス不調でお困りの方はぜひお問い合わせください。

お問い合わせはこちらかお願いいたします。

この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

詳しいプロフィールはこちら

ジャンルから記事を探す

CONTACTお問い合わせ

困ったことをどの分野の専門家に相談すればいいか分からないということはよくあります。LAOが対応できる内容か分からない場合でも、どうぞお気軽にお問い合わせください。

もちろん、弊所では、オンラインによる対応を行っております。Zoom, Teams, Webexは対応しております。その他のツールをご希望の場合はご相談ください。

オンライン相談に関して詳しくはをご覧ください。

オンライン相談について

オンライン相談とは

オンライン相談とは、スマートフォン・タブレット・パソコンを使って、ご自宅にいながらスタッフにご相談できるサービスです。スタッフの顔をみながら簡単にご相談することが可能です。

使用可能なアプリ等について

Zoom・Teams・WebExは実績があります。その他に関してはご相談ください。

オンライン相談の流れ

1.お申し込み
メールフォームまたはお電話よりお申し込みください。

2.日程のご予約
メールアドレス宛に日程調整のメールをお送り致します。

3.URLの送付
日程調整後、弊所より開催当日までにオンライン相談の方法をメールでご案内します。

4.相談日
お約束のお時間にお送りしたURLより参加していただきますと、打ち合わせが始まります。