2023/04/10 2023/04/25
【プロ向け】士業の職印について(行政書士・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント・海事代理士)
士業はたくさんありますが、士業の種類によっては、職印がないと活動できない場合もあります。
労働衛生コンサルタントは、士業なのですが、職印は必要ありません。
今回はそんな士業の職印についてのお話です。
士業の職印について
私は、4つの職印をもっています。社会保険労務士、行政書士、海事代理士、労働衛生コンサルタントの4つです。使う頻度が多いのは、圧倒的に行政書士です。
この職印ですが、行政書士と海事代理士については職印の登録といい、行政書士は行政書士会へ、海事代理士は陸運局への登録が必要です。業務を行う際にはこの登録した印鑑を使用しなければなりません。
つまり、印鑑をつくらなければお仕事ができないということですね。
今回は、この4つの士業の印鑑にまつわるお話です。
職印が必要ない士業
社会保険労務士
社会保険労務士は書類の押印が必要なくなったこともあり、ほとんど使っていません。また、労働基準監督署の行政手続も、多くの場合で令和3年4月1日から押印が不要になりました。産業医の皆様は、押印がなくなり、健康診断の医師の意見の記載が楽になったのではないでしょうか。しかし、現在も社会保険労務士の職印による押印が必要な書類がありますので注意しましょう。
改正する省令に関するQ&A ~行政手続における押印原則の見直し~
令和2年12月 厚生労働省労働基準局
労働衛生コンサルタント
まず、労働衛生コンサルタントは士業ということになっています(厚生労働省HP)。しかし、労働衛生コンサルタントは登録は必要ですが、職印の登録の必要がありませんので、職印を作成する必要はありません。ほとんどの労働衛生コンサルタントの方は職印を持っていないと思われます。通常の認印だけで実務はこなせるのでかと思います。
もちろん、労働衛生コンサルタントの職印を作るのは自由です。しかし、職印は本来、その業務を行う場合に使用する印鑑なのです。つまり、本来は、労働衛生コンサルタントの業務に関する書類であれば労働衛生コンサルタントの職印を、産業医としての仕事であれば、通常の名字だけの認印を押印するのがよいでしょう。
しかし、産業医と労働衛生コンサルタントの業務を二重に行っているということで、労働衛生コンサルタントの職印を押すことも可能かと思われます。
私は、診療情報提供依頼書については会社の産業医の立場で発行することが多いので、名字の認印を押印することが多いです。このように、ある事業所の産業医としての書類を作成する場合はその企業所属の産業医となるため、苗字の「清水」だけの印鑑とすることが多いです。
職印のつくり方については、以下の記事で紹介しています。
私の場合、やはり、最も職印を使用をする機会が多いのは労働衛生コンサルタント関係の書類です。
また、産業医が傷病手当金申請関係の書類を健康保険組合等へ提出するときは提出先が労働基準監督署ではないので押印が必要です。この場合は、通達より、労働衛生コンサルタントではなく、事業所の「産業医」が作成すべき書類なので、名字の認印を押印します。
職印がないと活動できない士業
行政書士と海事代理士
行政書士と海事代理士は、合格後の登録時に職印が必須になります。つまり、職印がなければ、行政書士と海事代理士になれません。
職印がなければ作成できない書類がほとんどになります。
登録するタイプの職印については、変更が厄介なので、耐久性のある素材で印鑑を作成するのがよいかと思います。
まとめ
士業には職印という特有の印鑑を持つ場合があります。士業の種類によっては職印の登録が必要です。
近年では行政機関の手続で押印が必要ない場合もあります。
しかし、契約書や事実関係を証明する書面では、実際の押印が必要な場合があります。
職印を押印するか、あるいは名字だけの認印を押印すべきかは、その押印する書類をどのような立場で作成するかにより決まります。
このように、いろいろルールと使い分けがあるのです。
まあ、産業医業務のみでしたら、名字の認印を準備しておけばよいかと思います。
労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、産業医・顧問医の受託をお受けしております。労務管理と一体になった産業保健業務を多職種連携で行います。