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化学物質の管理を解説

2023/05/25 2023/05/25

【安全衛生・初心者向け】リスクアセスメント対象物の混合物を対象としたリスクアセスメントについて

今回は、リスクアセスメントにつき、リスクアセスメント対象物が含有されている製品であることは分かりましたが、混合物の場合どのようにリスクアセスメントするかについてお話しします。
SDSに関しては非常に難しいマニアックな話もあるのですが、初心者向けに情報を減らしてお話ししております。

リスクアセスメント対象物がが複数含有されている混合物のSDSとリスクアセスメントについて

 リスクアセスメント対象物が複数含まれている製品のリスクアセスメント

リスクアセスメントを行う際には、まず、SDSを入手します。SDSはJIS規格ですので、何番目の項目に何が書いてあるか決まっています。
項目を以下に少しだけ示します。何かの化学物質のSDSを見ていただければ、項目と番号が同じであることがわかるでしょう。

1 化学品及び会社情報
2 危険有害性の要約
3 組成及び成分情報
4 応急措置
(中略)
15 適用法令
16 その他の情報

ここで、「3.組成、成分情報」に、物質名とCAS番号が記載されています。
もちろん、混合物であれば、複数の物質が記載されています。

このような場合は、「2.危険有害性の要約」にあるGHS区分の記載はどうなるのでしょうか?
「2.危険有害性の要約」にはGHS区分が記載されており、このGHS区分で示される危険有害性はリスクアセスメントを行う際の要となる情報です。
こちらは、以下より、原則、製品自体(混合物)の情報について記述するということになっています。

混合物の場合、有害性情報等はどう記載する?
化管法に基づくSDS及びラベルに記載する化学物質の情報は、原則、製品自体(混合物)の情報について記述することとなっております。

引用元:化管法に基づくSDS・ラベル作成ガイド ~事業者向けGHS分類ガイダンス・GHS混合物分類判定システム~


 混合物の「3.組成、成分情報」の記載

「3. 組成および成分情報」には、「単一製品と混合物の区別」の欄が記載されていますが、混合物の場合には、SDSには組成の全てを記載する必要はありません。
引用元:化管法に基づくSDS・ラベル作成ガイド ~事業者向けGHS分類ガイダンス・GHS混合物分類判定システム~

GHS分類に基づき、危険有害性があると判断され、かつ、GHSの濃度限界(カットオフ値)以上含有する成分については、すべての危険有害成分を記載することが望ましいとされています。

(抜粋)
GHS分類に基づき、危険有害性があると判断された化学物質については、分類に寄与するすべての不純物及び安定化添加物を含め、化学名又は一般名及び濃度を記載することが望ましいです。混合物の場合は、組成の全部を記載する必要はありません。GHS分類に基づき、危険有害性があると判断され、かつ、GHSにおける濃度限界(カットオフ値)以上含有する成分については、すべての危険有害成分を記載することが望ましいです。

引用元:化管法に基づくSDS・ラベル作成ガイド ~事業者向けGHS分類ガイダンス・GHS混合物分類判定システム~

 混合物のSDSのGHSを直接に入力しリスクアセスメントを行う

 混合物のリスクアセスメント

混合物については、SDSのGHS区分は混合物の危険性を反映するのが原則であることがわかりました。原則として、混合物全体のGHS区分をもとにリスクアセスメントを行えば問題ないでしょう。しかし、クリエイト・シンプルを用いたリスクアセスメントは違いますので注意しましょう。

混合物のリスクアセスメントとクリエイト・シンプル

実は、クリエイト・シンプルのマニュアルに、以下のような説明があります。混合物についてのリスクアセスメントの方法についての説明です。
この説明によると、「3. 組成および成分情報」に記載されている化学物質につき、1種類ずつリスクアセスメントを行い、もっともリスクレベルの高いものを選択してリスク低減対策を検討するということです。

マニュアルにこのように記載されていますので、マニュアル通りに使いましょう。

混合物については、どのようにリスクアセスメントを実施すればよいですか。

SDSから混合物の成分を確認し、物質の有害性、含有率、揮発性、使用条件などから優先順位をつけて、1物質ずつリスクアセスメントを実施してください。例として、トリメチルベンゼン、キシレン、ノナンを主成分とするミネラルスピリットの場合には、まずそれぞれの物質についてリスクを判定をします。それぞれのリスク判定の結果、Ⅲ&S、Ⅰ&S、Ⅰ&Sと判定された場合には、混合物のリスクレベルを一番リスクレベルの高いⅢ&Sと考えてリスク低減対策を検討しましょう。また混合物のGHS分類情報がある場合には、混合物のGHS分類情報を手動で入力することによって、混合物としてリスクアセスメントを行うことも可能です。

CREATE-SIMPLEを用いた化学物質のリスクアセスメントマニュアル(ver2.4対応)

まとめ

混合物のリスクアセスメントについては、まず、SDSを入手しましょう。
「3. 組成および成分情報」には、「単一製品・混合物の区別」が記載されています。ここで混合物の場合には、GHS区分の表記が原則として混合物のGHS区分となっているはずです。
この、混合物のGHS区分を用いてリスクアセスメントを行います。

しかし、混合物に対してクリエイト・シンプルを利用してリスクアセスメントを行う場合には、マニュアル通り、化学物質1種類ずつリスクアセスメントを行い、一番リスクレベルの高いものを選択してリスク低減対策を検討しましょう。



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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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