2025/01/20 2025/02/13
【安全衛生・産業医向け】化学物質の自律的な管理に必要なCAS番号について

化学物質の名称は複雑であり、検索が難しい場合があります。特に、化学構造が複雑な場合、表記の違いや微妙な表現の差異が生じることがあります。
さらに、同じ化学物質でも複数の別名が存在するため、特定が困難なこともあります。
実務では、ネットでの検索や、エクセル上の検索で、スペース、ハイフン、半角、全角、省略等で、検索が困難な場合もあります。
では、このような場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
SDS(安全データシート)には「CAS番号」という情報が記載されていますが、これは具体的に何を指すのでしょうか。
また、リスクアセスメントにおいてCAS番号が使用されることがありますが、その役割とは何なのでしょうか。
今回は、化学物質の特定や管理に役立つ「CAS番号」について解説します。
化学物質の自律的な管理に必要なCAS番号について
CAS番号とはなにか?
化学物質には非常に多くの種類があります。そのため、名前も多く存在し、複雑な名前は表記が大変です。
実務で化学物質をWeb上で検索した場合、半角だったり、ハイフンのあるなし等で上手く検索できないこともよくあります。
さらに、一つの化学物質には複数の別名があります。例えば、メジャーな有機溶剤であるトルエンはメチルベンゼン、トルオール、トロール、フェニルメタンとも呼ばれます。
このように、化学物質は多く存在し、同じ物質でも異なる名前で呼ばれることがあります。また、化学式が複雑である場合や調査対象が多い場合には、情報を調べる作業が煩雑であり、漏れや検索失敗などの問題が生じる可能性もあります。
そこでCAS番号です。化学物質をCAS番号で同定すると、間違いがありません。
CAS番号は正式にはCAS登録番号と呼ばれ、世界的に広く利用されている化学物質ごとに一つだけ割り当てられる識別番号です。簡単に言えば、化学物質のID番号です。
SDSを見ると、通常はCAS番号が記載されているはずです。例えば、トルエンのSDSを見てみましょう。CAS番号 108-88-3と書かれていますね。
これがCAS番号です。一つの物質には唯一の番号が割り当てられているため、間違いがありません。
引用:厚生労働省 GHSモデル MSDS情報より
このCAS番号を特定するとリスクアセスメント対象物質かどうかの判定は非常に簡単で以下のサイトの「CAS番号での検索」にこのCAS番号を入れて検索し、引っ掛かれば検索結果に表示されます。引っ掛かれば、リスクアセスメント対象物質ということになります。
職場のあんぜんサイト GHS対応モデルラベル・モデルSDS情報
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/GHS_MSD_FND.aspx
また、がん原性物質の検索にも役に立ちます。
化学物質の自律的管理におけるCAS番号のつかいどころ
まず、事業所で利用する化学物質をリスト化する際に、CAS番号もデータにしておきましょう。
これで、重複する化学物質をリスト化する可能性が低下します。
これは非常にお勧めで、ぜひ、CAS番号を含めて、使用する化学物質をリスト化しましょう。
また、クリエイトシンプルにおいても、CAS番号を入力することで、GHS区分が入力されます。
まとめ
CAS番号は安全衛生において、化学物質の自律的な管理を行う上で必須の番号になります。
難しい話ではありませんので知っておきましょう。
がん原性物質の検索にもCAS番号は重要です。
労働衛生コンサルタント事務所LAOは、化学物質の自律的管理について、コンサルティング業務を行っております。
産業医として化学物質の自律的管理に対応可能な医師はあまりいないと思われますが、継続的なフォローも必要なため、産業医又は顧問医としての契約として、お受けしております。
個人ばく露測定のご相談やリスクアセスメント対象物健康診断の実施についても対応可能です。
化学物質の個別的な規制についても得意としています。
Zoom等のオンラインツールを用いて日本全国対応させていただいております。
詳しいサービス内容は以下のページをご参照ください。