2023/04/18 2023/04/18
【メンタルヘルス】産業医とキャリアコンサルタントの連携はシステムズアプローチに有用
産業医がクライエント企業の従業員がメンタルヘルス不調になっていると判断した場合、厚生労働省の指針である「心の健康の保持増進のための指針」や「職場復帰支援の手引き」を活用して対応することが適切です。
このような場合、産業医と人事労務担当者が主導的な役割を果たすことが多いかと思います。
しかし、私は、キャリアコンサルタントがメンタルヘルス不調の対応に多くな役割を果たせると考えています。
今回は産業医・キャリアコンサルタントとして、「メンタル不調」に関わる内容についてお話ししたいと思います。
産業医とキャリアコンサルタントの連携はシステムズアプローチに有用
円環的因果律の状況把握と介入について
システムズアプローチについてお話をしてきました。
メンタルヘルス不調者がIP(Identified Patient)であるとすると、どのような円環的因果律(circular causality)があり、どこにアプローチを行うかが問題になります。状況把握をしなければいけないですよね。
しかし、状況が明確でないことはよくあります。そのような場合には、IPの周囲の方々に網羅的なカウンセリングを行い、状況を把握することがあります。このような状況でキャリアコンサルタントが活躍します。
ちなみに、ほとんどの産業医はカウンセリングができません。
カウンセリングと守秘義務
こちらは非常に重要な論点です。
システムズアプローチを実施する際には、状況分析のために情報を共有する必要がありますが、情報共有には守秘義務の観点から非常に注意が必要です。
カウンセリングや産業医面談において、クライエントが秘密にしたい内容に関しては守秘義務がありますので、その情報はカウンセラーや産業医の間で同意を得られた範囲でのみ共有されなければなりません。
そのため、クライエントから内密にしてほしいと言われた情報はクライエント企業とは共有しません。
カウンセリングの内容のどの部分を、どの程度まで秘密にするか、または公開しても良いかについては、カウンセリングの際にクライエントに確認するべき重要な事項です。
キャリアコンサルティングの有用性
私は個人的な意見ですが、産業医からの依頼で行われる「メンタルヘルスの面談」と呼ばれる多くのケースが、実はキャリアコンサルタントの案件だと感じます。
もし皆様がキャリアコンサルタントといえば転職相談などに関わるだけの職種だと思っているなら、キャリアコンサルタントの仕事について誤解があるかもしれません。
ちなみに、心理系カウンセラーとキャリア系カウンセラーは得意な分野が微妙に異なります。以下に関連記事がありますので、参考にしてください。
メンタル不調を訴えていない方に対する面談では、キャリア面談を実施することができます。
メンタル不調を訴えていない方でも、キャリア面談を通じてメンタルヘルス不調に関連する可能性がある問題を支援することで、円環的因果律の発生を予防できるかもしれません。
時には、ハラスメントの話題が出てくるかもしれませんので注意が必要です。
また、システムズアプローチを行う際には情報収集が重要となります。
本当のメンタル不調が発生した時のために、キャリアコンサルタントは産業医との連携を常に行い、迅速に対応できるようにしましょう。
キャリアコンサルティングによって得られた情報は、守秘義務の範囲内で収集・共有し、円環的因果律を把握することで組織へのアプローチ戦略を立てることができます。
まとめ
産業医は業務の時間的制約から、カウンセリングに充分な時間を割くことが難しい場合があります。
現実的にも、産業医でカウンセリング技術を身に着けている先生は、かなり希少だと思われます。
カウンセリングで得た情報の守秘義務には注意が必要であり、カウンセリングの際にはクライエントに対して情報の公開範囲を確認し、その範囲内で情報を扱う必要があります。
キャリアコンサルティングにより個人へのアプローチが成功した場合、円環的因果律がうまく減退してゆく可能性もあります。
さらに、情報の守秘義務の範囲内で得た情報を活用し、円環的因果律を把握して組織へのアプローチ戦略を立てることができます。
キャリアコンサルタントが、メンタル不調が発生したかどうかの判断に悩むことは非常に多いと思われます。産業医の先生方はキャリアコンサルタントの方が連携を申し出されたときには、ぜひ、会社のためにもお話を聞いていただきたいと思います。
キャリアコンサルタントも産業医との連携を常に行い、迅速に対応できるように心がけましょう。
労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、メンタルヘルスに関する、コンサルティング業務を行っております。
メンタルヘルス不調に関する難しい案件にも対応いたします。社労士ですので、就業規則や社会保障も含めた労務管理を考慮した対応を行い、また、主治医との診療情報提供依頼書のやり取りを通じて、従業員の復職支援、両立支援を行うことを得意としています。
行政書士事務所として、休職発令の書面や、休職期間満了通知書、お知らせ等の書面の作成も行います。
メンタルヘルスに関する、コンサルティング業務は、原則として、顧問医・産業医としての契約になります。
オンラインツールを用いて、日本全国の対応が可能ですのでメンタルヘルス不調でお困りの方はぜひお問い合わせください。