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【人事労務担当者向け】会社を閉める廃業時の記録の手続き(作業環境測定の記録・健診結果・作業の記録)

特化物の特別管理物質とは、がん原性(疑わしい物質を含む)を持つ第1類および第2類の特化物質を指します。特別管理物質に暴露した後は、時間が経過するとがんなどの健康障害が発生する可能性があります。そのため、異動後には配転後健康診断が行われ、退職後には健康管理手帳でフォローアップされることが別の記事で説明されています。
これらの記録の保存義務は30年間です。



しかし、例えば以下のような例は起こりえないでしょうか。

過去に化学物質を製造する会社(甲工場)で勤めていた、会社員、Aさんがいます。現在は、別の会社で勤めています。
Aさんは、がんに罹ってしまいました。
Aさんは、昔、甲工場で使っていた化学物質で、がんになったのではないかと思い、労災申請をしようと思いました。

しかし、化学物質を使っていたのは昔に勤めていた甲工場であって、今勤めている会社(乙会社)ではありません。
昔の会社に、業務の記録等があるので話をしようと思ったら、会社は、跡形もなく消滅していました・・・・

今の時代、転職や廃業はいくらでもあります。

せっかく健康診断等の結果を30年間保存する義務があるのに、結果を保管する責任者がいなければ意味がありませんね。今回はそんな話をしましょう。

廃業時の記録の手続き(作業環境測定の記録・健診結果・作業の記録の三点セットについて)

 特化則に基づき、30年間保存すべき書類

さて、かなり前に退職した会社で化学物質を取り扱っていて、その後、がんを発症し労災申請を行いたい場合に、前の会社が既に存在しないので、労災申請に困難をともなうということはあり得ますね。

今回は、がんを引き起こす物質である特化物と石綿に注目してみましょう。特化物の記録保存に関しては、以下の規定、特化則36条があります。
実際には他にも細かい30年保存の規定が存在しますが、主なものを挙げています。

一・三―ブタジエン等、一・三―プロパンスルトン等、硫酸ジエチルについては補足資料を付けています。

なお、少し補足しますと、作業環境測定の結果については、以下の流れで処理を行います。
①特定化学物質障害予防規則の第36条に基づき、作業環境測定を行い、その結果を記録します。
②その後、特定化学物質障害予防規則の第36条の2により、測定結果を評価し、管理区分を決定します。

特定化学物質障害予防規則

(測定及びその記録)
第三十六条
事業者は、令第二十一条第七号の作業場(石綿等(石綿障害予防規則(平成十七年厚生労働省令第二十一号。以下「石綿則」という。)第二条第一項に規定する石綿等をいう。以下同じ。)に係るもの及び別表第一第三十七号に掲げる物を製造し、又は取り扱うものを除く。)について、六月以内ごとに一回、定期に、第一類物質(令別表第三第一号8に掲げる物を除く。)又は第二類物質(別表第一に掲げる物を除く。)の空気中における濃度を測定しなければならない。
2 事業者は、前項の規定による測定を行つたときは、その都度次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 測定日時
二 測定方法
三 測定箇所
四 測定条件
五 測定結果
六 測定を実施した者の氏名
七 測定結果に基づいて当該物質による労働者の健康障害の予防措置を講じたときは、当該措置の概要
3 事業者は、前項の測定の記録のうち、令別表第三第一号1、2若しくは4から7までに掲げる物又は同表第二号3の2から6まで、8、8の2、11の2、12、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物に係る測定の記録並びに同号11若しくは21に掲げる物又は別表第一第十一号若しくは第二十一号に掲げる物(以下「クロム酸等」という。)を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行つた令別表第三第二号11又は21に掲げる物に係る測定の記録については、三十年間保存するものとする。
4 令第二十一条第七号の厚生労働省令で定めるものは、次に掲げる業務とする。
一 第二条の二各号に掲げる業務
二 第三十八条の八において準用する有機則第三条第一項の場合における同項の業務(別表第一第三十七号に掲げる物に係るものに限る。)
三 第三十八条の十三第三項第二号イ及びロに掲げる作業(同条第四項各号に規定する措置を講じた場合に行うものに限る。)

第三十六条の二(測定結果の評価)
 事業者は、令別表第三第一号3、6若しくは7に掲げる物又は同表第二号1から3まで、3の3から7まで、8の2から11の2まで、13から25まで、27から31の2まで若しくは33から36までに掲げる物に係る屋内作業場について、前条第一項又は法第六十五条第五項の規定による測定を行つたときは、その都度、速やかに、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従つて、作業環境の管理の状態に応じ、第一管理区分、第二管理区分又は第三管理区分に区分することにより当該測定の結果の評価を行わなければならない。
2 事業者は、前項の規定による評価を行つたときは、その都度次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。
一 評価日時
二 評価箇所
三 評価結果
四 評価を実施した者の氏名
3 事業者は、前項の評価の記録のうち、令別表第三第一号6若しくは7に掲げる物又は同表第二号3の3から6まで、8の2、11の2、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、22の2から22の5まで、23の2から24まで、27の2、29、30、31の2、33の2若しくは34の3に掲げる物に係る評価の記録並びにクロム酸等を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行つた令別表第三第二号11又は21に掲げる物に係る評価の記録については、三十年間保存するものとする。

(作業の記録)
第三十八条の四 事業者は、特別管理物質を製造し、又は取り扱う作業場において常時作業に従事する労働者について、一月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを三十年間保存するものとする。
一 労働者の氏名
二 従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間
三 特別管理物質により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要

(健康診断の結果の記録)
第四十条 事業者は、前条第一項から第三項までの健康診断(法第六十六条第五項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「特定化学物質健康診断」という。)の結果に基づき、特定化学物質健康診断個人票(様式第二号)を作成し、これを五年間保存しなければならない。
2 事業者は、特定化学物質健康診断個人票のうち、特別管理物質を製造し、又は取り扱う業務(クロム酸等を取り扱う業務にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う業務に限る。)に常時従事し、又は従事した労働者に係る特定化学物質健康診断個人票については、これを三十年間保存するものとする。

特定化学物質障害予防規則

これらの条文により、特定の特化物について、以下の3つの情報を30年間保存する必要がある場合があります。

記録の保存30年すべきもの(特化物)
  1. 作業環境測定の記録
  2. 作業の記録
  3. 健診の結果の記録





事業を廃止しようとするときの労働基準監督署へ記録を提出しましょう。

そして、発がん性が明確な特別管理物質に関しては、事業者が廃業する際に記録が消失すると労働者にとって不利になるため、廃業時には所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。
この規定は、特定化学物質障害予防規則の第53条に明記されています。

特定化学物質障害予防規則
第五十三条 特別管理物質を製造し、又は取り扱う事業者は、事業を廃止しようとするときは、以下の書類を所轄労働基準監督署長に提出するものとする。
一 第三十六条第三項の測定の記録
二 第三十八条の四の作業の記録
三 第四十条第二項の特定化学物質健康診断個人票
e-Gov 特定化学物質障害予防規則

わかりにくいので、まとめますと、このようになります。

特別管理物質を製造し、又は取り扱う事業者は、事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書(様式第十一号)に次の記録及び特定化学物質健康診断個人票又はこれらの写しを添えて、所轄労働基準監督署長に提出するものとする。
①作業環境測定の記録
②作業の記録
③特定化学物質健康診断個人票
④特別管理物質等関係記録等報告書(様式第十一号)

このように、所轄の労働基準監督署は事業所の廃業後もこれらの書類を保存してくれます。
これにより、万が一、相当な時間が経過してからがんに罹患しても、労働者は労災を申請することができるように、記録が保全されます。

また、万が一、書類の保管ができていない場合でも、対象となる化学物質や業務で健康管理手帳の交付を受けている場合、それは当該業務を行っていたことを証明するものとなります。
そのため、健康管理手帳は対象者にとって有益であり、取得することをお勧めします。

 石綿についても同様の規定があります。

石綿もばく露後時間がたってから石綿関連疾患にかかってしまうかもしれませんよね。
そのため、石綿にも同様の規定があります。

石綿障害予防規則
(石綿関係記録等の報告)
第四十九条 石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する事業者又は石綿分析用試料等を製造する事業者は、事業を廃止しようとするときは、石綿関係記録等報告書(様式第六号)に次の記録及び石綿健康診断個人票又はこれらの写しを添えて、所轄労働基準監督署長に提出するものとする。
一 第三十五条の作業の記録
二 第三十六条第二項の測定の記録
三 第四十一条の石綿健康診断個人票

e-Gov 石綿障害予防規則

なお、電離放射線に関しては少し特殊です。
事業を廃止しようとするときは、「厚生労働大臣が指定する機関に引き渡す」となっていますね。

電離放射線障害防止規則(記録等の引渡し)
第六十一条の二 第九条第二項の記録を作成し、保存する事業者は、事業を廃止しようとするときは、当該記録を厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すものとする。
2 電離放射線健康診断個人票又は緊急時電離放射線健康診断個人票を作成し、保存する事業者は、事業を廃止しようとするときは、当該電離放射線健康診断個人票又は緊急時電離放射線健康診断個人票を厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すものとする。

e-Gov 電離放射線障害防止規則

 

 まとめ

がんなど、ばく露後に時間が経過して発症する疾患について労災申請を行おうとする場合、その業務を行っていたのが、はるか昔だということがあるかもしれません。
しかし、その業務を行っていた事業者が廃業してしまうと、記録が散逸して労働者にとって不利な状況となります。

そのため、特別管理物質に関しては、所轄の労働基準監督署が事業所の廃業後に記録を保存してくれることになっています。
事業者は廃業時にきちんと所轄の労働基準監督署に報告する必要があります。
特別管理物質を扱う労働者も、この点を覚えておくことが重要です。

参考資料
一・三―ブタジエン等、一・三―プロパンスルトン等、硫酸ジエチルについての補足資料です。

特定化学物質障害予防規則(測定及びその記録)

(一・三―ブタジエン等に係る措置)
第三十八条の十七 事業者は、一・三―ブタジエン若しくは一・四―ジクロロ―二―ブテン又は一・三―ブタジエン若しくは一・四―ジクロロ―二―ブテンをその重量の一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下この条において「一・三―ブタジエン等」という。)を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業に労働者を従事させるときは、次に定めるところによらなければならない。
一 一・三―ブタジエン等を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業場所に、一・三―ブタジエン等のガスの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けること。ただし、一・三―ブタジエン等のガスの発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難な場合又は臨時の作業を行う場合において、全体換気装置を設け、又は労働者に呼吸用保護具を使用させ、及び作業に従事する者(労働者を除く。)に対し呼吸用保護具を使用する必要がある旨を周知させる等健康障害を予防するため必要な措置を講じたときは、この限りでない。
二 一・三―ブタジエン等を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業場所には、次の事項を、見やすい箇所に掲示すること。ただし、前号の規定により一・三―ブタジエン等のガスの発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置を設けるとき、又は同号ただし書の規定により全体換気装置を設けるときは、ニの事項については、この限りでない。
イ 一・三―ブタジエン等を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業場所である旨
ロ 一・三―ブタジエン等により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状
ハ 一・三―ブタジエン等の取扱い上の注意事項
ニ 当該作業場所においては呼吸用保護具を使用する必要がある旨及び使用すべき呼吸用保護具
三 一・三―ブタジエン等を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業場所において常時作業に従事する労働者について、一月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを三十年間保存すること。
イ 労働者の氏名
ロ 従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間
ハ 一・三―ブタジエン等により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要
四 一・三―ブタジエン等を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業に労働者を従事させる事業者は、事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書(様式第十一号)に前号の作業の記録を添えて、所轄労働基準監督署長に提出すること。
2 第七条第一項及び第八条の規定は前項第一号の局所排気装置について、第七条第二項及び第八条の規定は同号のプッシュプル型換気装置について準用する。ただし、前項第一号の局所排気装置が屋外に設置されるものである場合には第七条第一項第四号及び第五号の規定、前項第一号のプッシュプル型換気装置が屋外に設置されるものである場合には同条第二項第三号及び第四号の規定は、準用しない。

(硫酸ジエチル等に係る措置)
第三十八条の十八 事業者は、硫酸ジエチル又は硫酸ジエチルをその重量の一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下この条において「硫酸ジエチル等」という。)を触媒として取り扱う作業に労働者を従事させるときは、次に定めるところによらなければならない。
一 硫酸ジエチル等を触媒として取り扱う作業場所に、硫酸ジエチル等の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けること。ただし、硫酸ジエチル等の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難な場合又は臨時の作業を行う場合において、全体換気装置を設け、又は労働者に呼吸用保護具を使用させ、及び作業に従事する者(労働者を除く。)に対し呼吸用保護具を使用する必要がある旨を周知させる等健康障害を予防するため必要な措置を講じたときは、この限りでない。
二 硫酸ジエチル等を触媒として取り扱う作業場所には、次の事項を、見やすい箇所に掲示すること。ただし、前号の規定により硫酸ジエチル等の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置を設けるとき、又は同号ただし書の規定により全体換気装置を設けるときは、ニの事項については、この限りでない。
イ 硫酸ジエチル等を触媒として取り扱う作業場所である旨
ロ 硫酸ジエチル等により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状
ハ 硫酸ジエチル等の取扱い上の注意事項
ニ 当該作業場所においては呼吸用保護具を使用しなければならない旨及び使用すべき呼吸用保護具
三 硫酸ジエチル等を触媒として取り扱う作業場所において常時作業に従事する労働者について、一月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを三十年間保存すること。
イ 労働者の氏名
ロ 従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間
ハ 硫酸ジエチル等により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要
四 硫酸ジエチル等を触媒として取り扱う作業に労働者を従事させる事業者は、事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書(様式第十一号)に前号の作業の記録を添えて、所轄労働基準監督署長に提出すること。
2 第七条第一項及び第八条の規定は前項第一号の局所排気装置について、第七条第二項及び第八条の規定は同号のプッシュプル型換気装置について準用する。ただし、前項第一号の局所排気装置が屋外に設置されるものである場合には第七条第一項第四号及び第五号の規定、前項第一号のプッシュプル型換気装置が屋外に設置されるものである場合には同条第二項第三号及び第四号の規定は、準用しない。

(一・三―プロパンスルトン等に係る措置)
第三十八条の十九 事業者は、一・三―プロパンスルトン又は一・三―プロパンスルトンをその重量の一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下この条において「一・三―プロパンスルトン等」という。)を製造し、又は取り扱う作業に労働者を従事させるときは、次に定めるところによらなければならない。
一 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備については、密閉式の構造のものとすること。
二 一・三―プロパンスルトン等により汚染されたぼろ、紙くず等については、労働者が一・三―プロパンスルトン等により汚染されることを防止するため、蓋又は栓をした不浸透性の容器に納めておき、廃棄するときは焼却その他の方法により十分除毒すること。
三 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備(当該設備のバルブ又はコックを除く。)については、一・三―プロパンスルトン等の漏えいを防止するため堅固な材料で造り、当該設備のうち一・三―プロパンスルトン等が接触する部分については、著しい腐食による一・三―プロパンスルトン等の漏えいを防止するため、一・三―プロパンスルトン等の温度、濃度等に応じ、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講ずること。
四 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備の蓋板、フランジ、バルブ、コック等の接合部については、当該接合部から一・三―プロパンスルトン等が漏えいすることを防止するため、ガスケットを使用し、接合面を相互に密接させる等の措置を講ずること。
五 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備のバルブ若しくはコック又はこれらを操作するためのスイッチ、押しボタン等については、これらの誤操作による一・三―プロパンスルトン等の漏えいを防止するため、次の措置を講ずること。
イ 開閉の方向を表示すること。
ロ 色分け、形状の区分等を行うこと。ただし、色分けのみによるものであつてはならない。
六 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備のバルブ又はコックについては、次に定めるところによること。
イ 開閉の頻度及び製造又は取扱いに係る一・三―プロパンスルトン等の温度、濃度等に応じ、耐久性のある材料で造ること。
ロ 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備の使用中にしばしば開放し、又は取り外すことのあるストレーナ等とこれらに最も近接した一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備(配管を除く。次号、第九号及び第十号において同じ。)との間には、二重に設けること。ただし、当該ストレーナ等と当該設備との間に設けられるバルブ又はコックが確実に閉止していることを確認することができる装置を設けるときは、この限りでない。
七 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備に原材料その他の物を送給する者が当該送給を誤ることによる一・三―プロパンスルトン等の漏えいを防止するため、見やすい位置に、当該原材料その他の物の種類、当該送給の対象となる設備その他必要な事項を表示すること。
八 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う作業を行うときは、次の事項について、一・三―プロパンスルトン等の漏えいを防止するため必要な規程を定め、これにより作業を行うこと。
イ バルブ、コック等(一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備又は容器に原材料を送給するとき、及び当該設備又は容器から製品等を取り出すときに使用されるものに限る。)の操作
ロ 冷却装置、加熱装置、攪拌かくはん装置及び圧縮装置の操作
ハ 計測装置及び制御装置の監視及び調整
ニ 安全弁その他の安全装置の調整
ホ 蓋板、フランジ、バルブ、コック等の接合部における一・三―プロパンスルトン等の漏えいの有無の点検
ヘ 試料の採取及びそれに用いる器具の処理
ト 容器の運搬及び貯蔵
チ 設備又は容器の保守点検及び洗浄並びに排液処理
リ 異常な事態が発生した場合における応急の措置
ヌ 保護具の装着、点検、保管及び手入れ
ル その他一・三―プロパンスルトン等の漏えいを防止するため必要な措置
九 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う作業場及び一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備を設置する屋内作業場の床を不浸透性の材料で造ること。
十 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備を設置する作業場又は当該設備を設置する作業場以外の作業場で一・三―プロパンスルトン等を合計百リットル以上取り扱うものに関係者以外の者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止するとともに、表示以外の方法により禁止したときは、当該作業場が立入禁止である旨を見やすい箇所に表示すること。
十一 一・三―プロパンスルトン等を運搬し、又は貯蔵するときは、一・三―プロパンスルトン等が漏れ、こぼれる等のおそれがないように、堅固な容器を使用し、又は確実な包装をすること。
十二 前号の容器又は包装の見やすい箇所に一・三―プロパンスルトン等の名称及び取扱い上の注意事項を表示すること。
十三 一・三―プロパンスルトン等の保管については、一定の場所を定めておくこと。
十四 一・三―プロパンスルトン等の運搬、貯蔵等のために使用した容器又は包装については、一・三―プロパンスルトン等が発散しないような措置を講じ、保管するときは、一定の場所を定めて集積しておくこと。
十五 その日の作業を開始する前に、一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う設備及び一・三―プロパンスルトン等が入つている容器の状態並びに当該設備又は容器が置いてある場所の一・三―プロパンスルトン等による汚染の有無を点検すること。
十六 前号の点検を行つた場合において、異常を認めたときは、当該設備又は容器を補修し、漏れた一・三―プロパンスルトン等を拭き取る等必要な措置を講ずること。
十七 一・三―プロパンスルトン等を製造し、若しくは取り扱う設備若しくは容器に一・三―プロパンスルトン等を入れ、又は当該設備若しくは容器から取り出すときは、一・三―プロパンスルトン等が漏れないよう、当該設備又は容器の注入口又は排気口に直結できる構造の器具を用いて行うこと。
十八 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う作業場には、次の事項を、見やすい箇所に掲示すること。
イ 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う作業場である旨
ロ 一・三―プロパンスルトン等により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状
ハ 一・三―プロパンスルトン等の取扱い上の注意事項
ニ 当該作業場においては有効な保護具を使用しなければならない旨及び使用すべき保護具
十九 一・三―プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う作業場において常時作業に従事する労働者について、一月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを三十年間保存すること。
イ 労働者の氏名
ロ 従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間
ハ 一・三―プロパンスルトン等により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要
二十 一・三―プロパンスルトン等による皮膚の汚染防止のため、保護眼鏡並びに不浸透性の保護衣、保護手袋及び保護長靴を使用させること。
二十一 事業を廃止しようとするときは、特別管理物質等関係記録等報告書(様式第十一号)に第十九号の作業の記録を添えて、所轄労働基準監督署長に提出すること。
2 事業者は、前項の作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、同項第二号及び第十七号の措置を講ずる必要がある旨、同項第八号の規程により作業を行う必要がある旨並びに一・三―プロパンスルトン等による皮膚の汚染防止のため、同項第二十号の保護具を使用する必要がある旨を周知させなければならない。
3 労働者は、事業者から第一項第二十号の保護具の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

e-Gov 特定化学物質障害予防規則

 

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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