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【資格・医師向け】はるか昔にUSMLEを受験した時の記憶について(忘備録)

実は私、2017年までは医師免許と温泉療法医の資格しか持っていませんでした。
もっとも、温泉療法医については仕事で使うというよりも、温泉好きな私の趣味として取得した側面が大きいのですが……。

今回は、昔勉強していた「USMLE」についてご紹介したいと思います。
USMLEは簡単に言うと、アメリカの医師国家試験のことです。

受験したのはかなり昔なので、これから受験しようという方には、あまり参考にならない情報かもしれませんが、当時の経験を振り返りながらお話ししてみます。

USMLEについて

 昔のUSMLE受験状況

私がUSMLEを受験したのは2003年ですので、かなり前のことになります。
当時はスマートフォンも存在せず、インターネットはあるにはあったものの、今ほど発達していたとはいえない時代でした。

当時のUSMLEは、STEP1とSTEP2に合格したうえでアメリカで臨床研修(レジデンシー)を受け、その後、各州でSTEP3に合格すれば、アメリカで医師として働くことができる、という試験制度でした。

教員になりたてだった私は、海外に興味を持つ学生さんと話す機会が多く、その中でUSMLEの話題が出てきたのがきっかけです。海外の医療機関を訪問する機会も多かったことから、それなら受けてみようかなと思い立ったのが受験の動機です。

実は、USMLEの存在を知ったのは2002年8月で、学生さんとロシアを訪問していたときのことでした。すぐに受けようと決めたのですが、当時はアメリカに手紙で書類を申請して送ってもらい、さらに申込用紙にクレジットカード番号を記入してEMSで返送するという、非常に手間のかかる時代で……。
それだけで何か月もかかり、結局、受験できたのは2003年3月でした。

しかも当時は、今のように情報がまったくなく、「どうやって勉強すればいいのか」すら分からない状態。今ならおすすめの参考書や勉強方法もネットで簡単に調べられますが、当時はまさに手探り。
面倒になってしまって、結局は『ステッドマン医学英語辞典』をざっと覚えて臨んだような感じでした。

試験の難易度としては、日本の医学教育をきちんと受けていれば、そこまで難しくはないと思います。ただし、CBT(コンピューター上でのテスト)形式で、膨大な英語の文章を読み解かなければならないのがとにかく大変でした。

今では、便利な情報サイトもたくさんあるようですね。

USMLE

https://www.usmle.org/

本当に、昔は申し込みから受験まで半年くらいかかっていたのですから……。

STEP1の結果

これが結果です。USMLE IDが載っていますが、どうせもう期限切れですしね。

スコアを見てみると、平均点は215点、標準偏差が21点とのことなので、私の点数は合格者の中では下から30〜40%あたりだったのではないかと思います。

ちなみに、昔の試験結果の用紙はコピーすると透かし文字が出る仕様になっていました。ちょっとしたセキュリティですね。

面白いのは、分野別の成績が細かく出るところで、自分がどの分野に弱いかが一目で分かるようになっている点です。
……まあ、もう20年前の私の話なんですけれどね。

ちなみに、試験の分野別成績を見ると、私が最も悪かったのは「Behavioral Medicine」という分野でした。これは日本ではあまり馴染みがなく、日本語では「行動科学」と訳されます。

試験中、「これ、いったい何を聞かれているんだろう?」と感じる問題がいくつかあったのですが、それがまさに、この「Behavioral Medicine」の分野だったようです。
そもそも、日本の医学部ではこの分野を体系的に学ぶ機会はほとんどありません。今でも、行動科学の講座を設けている医学部は非常に限られているのではないでしょうか。むしろ、心理学部の方がこの分野をしっかり扱っている印象があります。

もっとも、今では公認心理師の勉強をしたこともあり、行動科学にはかなり強くなりましたよ。

STEP2の結果

こちらはSTEP2ですね。

こちらがSTEP2の内容です。

精神科のスコアもあまり良くありませんでした。
当時の日本の教科書とアメリカの精神科の教科書では、内容がかなり異なっていたのです。範囲も広く、内容も非常に濃く感じられました。

日本の教科書にはほとんど載っておらず、当時、他の医学生に聞いても知られていないような精神疾患が多数出題されていました。
そのため、「Mental Disorders」や「Psychiatry」関連のスコアは全体的に低めでした。

とはいえ、その経験から、行動科学や精神科領域については、アメリカの教科書で学ぶ必要があるということを痛感しました。

まとめ

2003年にUSMLEを受験した当時は、情報も少なく、申込みすら手紙とEMSでやり取りするようなアナログな時代でした。

試験のスコア自体は下のほうでしたが、分野別に成績が明確に出ることで、自分の弱点が可視化されるという点はよかったと思いました。
特に「行動科学(Behavioral Medicine)」や「精神科(Psychiatry)」の領域では、日本の医学教育とのギャップを強く感じました。これは今でも日本の医学部で十分にカバーされているとは言い難かったです。現在はどうでしょうね。

結果的に、私はUSMLEに合格したものの、アメリカで臨床医の道には進まず、教員としてのキャリアを歩むことになりました。
ですが、受験を通じて得た知識や視点は、ちょうどその後に導入されたCBTをはじめとする教育活動や公認心理師の学びにも活かされており、有益であったと感じています。

今では、USMLEに関する情報も豊富に手に入る時代です。これから受験を目指す方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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