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【まとめ】健康診断について人事労務担当者・産業医がしっておくべき事項について

こちらでは、人事労務担当者や産業医が知っておくべき、健康診断に関連する記事を幅広くまとめています。初心者向けの情報からより詳細な内容まで、さまざまなジャンルの記事をまとめました。

健康診断を始めるための準備から事後措置まで

健康診断を行う場合には、個人でどこかの医療機関を受診してもらう場合と、会社内で健康診断を行う集団健診のどちらかで実施されていることが多いかと思われます。この、健康診断の実施は準備が大切です。健診の実施前から、実施後の事後措置に至るまでに注意すべき事項をまとめました。

 健診診断を実施する前に、会社の人事労務担当者が知っておくべき事

健康診断には一般健診と特殊健診の2つのタイプがあります。(※ただし、臨時の健診を含めて3つのタイプとする説もあります)。多くの人は一般健診と特殊健診の違いを有害業務の有無によるものと認識していますが、実際には受診に費やした時間に対する賃金支払いの義務や、二次健診を実施すべきか、休業時の社会保障などについても取り扱いが異なってきます。

まず、実施者と人事労務系担当者は、健康診断が一般健診なのか特殊健診なのかを確認し、それらの労務管理上の違いを理解しておきましょう。

また、一般健診には「特定業務従事者健診」と呼ばれる健康診断も含まれています。この特定業務従事者健診は、特定の業務を行う労働者に対して実施される健康診断です。しかしながら、特定業務に関する論点をまとめた書籍が存在せず、またインターネット上でも解説が見つからないため、この記事ではそれらの情報をまとめました。特定業務の内容については、多数の通達がありますのでご注意ください。

有害業務を行う労働者に対しては、特殊健診が実施されます。特殊健診には、雇用時健診、定期健診、および配転後健診が含まれます。以下の記事では、一次健診と二次健診、そして退職時まで実施される配転後健診について解説しています。さらに、離職時または離職後に健康管理手帳を申請する場合の健康診断によるフォローアップについても説明しています。



医師・産業医が行うべき健診にまつわる業務について

健診機関、健診医、産業医等が健康診断を具体的に行うために必要な知識をまとめています。
健康診断の項目と、法令上、医師がどのような診察を行わなければならないかについてお話しいたします。

同じく、有機溶剤健診では法令上、どのような項目が必要で、どのような診察が必要かについてまとめました。

同じく、特化物健診において、法令上、どのような健診の種類があり、どのような項目の問診・診察が求められるかについてまとめました。

 健康診断を受けた後の事後措置について

健康診断を行った後、報告するだけで終わってしまってはいけないことは、産業医の皆様はご存じでしょう。健康診断は実施された後、その結果を本人に報告するだけでなく、事業者にも事後措置が求められます。具体的な事後措置についてもまとめました。

上記の記事のように、健康診断を実施したのちには事後措置を行わなければなりませんが、健康診断の結果の評価は注意が必要です。多くの健診機関においては、各項目の最も重いものを総合判定とすることが多いですが、項目を組み合わせて判定を行っている健診機関はほとんどありません。そのため、医師はすべての健診項目を総合的に見て、事後措置を行う必要があります。

その他、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」において、労働者に対し医師等による健康診断を実施し、当該労働者ごとに診断区分に関する医師等の判定を受けることとされており、その結果に対して、産業医等が就業区分を決定します。しかし、診断区分は各医療機関が独自に決定してるため、就業区分の判定を行う医師は注意が必要です。以下の記事では、診断区分と就業区分について詳しく解説いたしました。

産業医等が就業区分を述べる際、単純に健診結果の総合判定のみを見て判断すれば良いのでしょうか。実際には、受診者がどのような労働条件で、どのような業務を遂行できるかを考慮する必要があります。この健診の事故措置において、従業員の労働条件を把握することで、判定前後の事務手続きがスムーズに進行するでしょう。

特殊健診の事後措置の就業判定において、独特な区分が使われることも多いようですが、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」においては一般健診と同様になります。もちろん、各健診機関がきちんとした根拠の有る判定区分を利用すれば問題ありません。なお、じん肺健診だけは事後措置が特殊ですので注意しましょう。

労働安全衛生法には産業医制度の規定が存在しますが、公務員には労働安全衛生法が適用されず、代わりに人事院規則が適用されます。公務員には産業医に相当する健康管理医が存在しますが、産業医と健康管理医の職務は異なります。公務員の場合、健康診断の事後措置に関する就業区分も独自の区分が存在するため、公務員の健康管理業務を担当する医師はそれを知っておく必要があります。

特殊健診について

特殊健診のマニアックな話の記事になります。

特化物である溶接ヒュームの特殊健診について解説しました。アーク溶接により生じる溶接ヒュームの中に含まれるマンガン中毒を予防するための健診ですので、特化物健診としてはマンガンの健康診断になります。ステンレス(SUS)をアーク溶接する場合には、ステンレスのSDSは入手しておきましょう。なお、ヒュームといえば、粉じん作業になり、じん肺の発症が問題となりますが、こちらはじん肺法の対応になります。

じん肺健診について

じん肺健診はわかりにくくていやだという方もこちらを読めば流れが一通りわかるかと思います。

一度のじん肺健診は、基本の健診と、詳細な健診、合併症の健診の三段構えの健康診断を行う構図になっています。法令がややこしいのですが、それらを行う条件と、趣旨についてまとめました。

じん肺健診においては、胸部エックス線の読影が重要であることはおわかりかと思いますが、「じん肺の所見あり」の意味についてまとめました。

じん肺健診における事後措置は特殊です。これは労働安全衛生法に基づく健康診断でなく、じん肺法によるものであることが特殊である原因です。労働安全衛生法の健康診断では、事業者は医師を自由に選び、医師からの意見を聞くことができ、それに基づいて就業上の措置を行うことができますが、じん肺健診において、事業者は医師の選択はできず、労働局の地方じん肺審査医が判定を行います。
この、地方じん肺審査医が判定である管理区分が決定された場合、適切な措置を行うことが求められます。





健康診断の精度管理について

健康診断の機関で働く方向けの記事になります。
健康診断において、基準値は非常に重要です。基準値の概念について、簡単にまとめました。

最近では、様々な医療機関のデータをクラウド上に統合し、一つのSAASシステムで管理することが一般的となっています。しかし、このアプローチには一つの基準値を使用することによる弊害が生じる場合があります。以下の記事では、この弊害について詳しく解説しています。

健診結果の保存について

ちょっとした、知っておくと役立つ話です。
健康診断の結果の保管期間は、30年以上に及ぶ場合があります。これは、後に業務による晩発性の健康障害や癌などが発生した場合に、労災申請を行うために必要な資料を保管しておくための規定です。

しかし以下のような事例ではいかがでしょうか。

ある従業員が過去に別の会社で発がん性のある化学物質Aを取り扱っていました。その後、現在の会社で化学物質Aに起因する可能性のある癌に罹患しました。当該従業員は、健康診断結果などが30年間保存されることを知っており、労災申請のために前の職場に健康診断記録を参照しようと問い合わせました。しかし、前の職場は既に消滅して存在しませんでした。

職場で業務を行っていた証明ができなければ労災は困難でしょう。このような事態を避けるために、労働安全衛生法には関連する規定が設けられています。

 まとめ

健康診断について、人事労務担当者や産業医が知っておくべき事項をまとめました。
一般的な情報は厚生労働省のサイトやインターネット上にさまざまな情報があるため、ここではマニアックな部分に焦点を当てました。

今後も追加していく予定ですので、引き続きご支援をお願いいたします。

 

労働衛生コンサルタント事務所LAOでは、産業医・顧問医の受託をお受けしております。労務管理と一体になった産業保健業務を多職種連携で行います。

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この記事を書いた人

清水 宏泰

1975年生まれ。公衆衛生分野の専門家。現在はさまざまな組織の健康問題を予防するためにLAOにて行政書士・社労士・労働衛生コンサルタントとして活動しています。主に健康、心理系、産業保健の情報について発信していきます。

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